二階伸康氏に出馬要請 和歌山県町村会

和歌山県町村会(会長=岡本章九度山町長)は23日、和歌山市内で臨時理事会を開き、次期衆院選の新和歌山2区で、二階俊博元自民党幹事長(85)の三男で公設第一秘書の伸康氏(46)=御坊市出身、田辺市在住=に出馬を要請することを決定。24日には印南町役場で本人に要請書を直接手渡した。伸康氏は立候補を明言しなかったが、「町村長の重い決断をしっかり受け止め、熟慮に熟慮を重ね決断したい」と前向きな姿勢をみせた。

要請書は岡本会長が手渡し、副会長の日裏勝己印南町長と西前啓市古座川町長が立ち会った。岡本会長は、新2区の21町村でつくる町村会の全会一致での出馬要請であることを伝え、地元や国のために尽力してきた俊博氏の後継者として立候補を求めた。

伸康氏は「県内でさまざまな課題がある中、かじ取り役をされている町村長からの要請を重く、重く受け止めている。いまは二階の秘書の身であり、この場で私の一存のみで(立候補)への決断はできない。今後、関係者や二階を支えた皆さまと相談して、県の将来のために誤りなき選択をするため、自分がどうすべきか考えたい」と述べ、6月に衆院解散総選挙が行われるとの見方がある中、「衆院は常在戦場。決断するまでに時間をかけてはならない」との認識も示した。

政治責任を明らかにするとして、俊博氏が新2区への不出馬を表明する原因となった自民党派閥の政治資金問題については、「二階の秘書として責任を連帯して負うべきとの思いもあり、自分で立候補する資格があるのかどうか自問自答してきた」との胸中を明かした。

新2区からのくら替え出馬に意欲を見せてきた世耕弘成参院議員(61)=自民離党=ではなく、自身が県町村会から選ばれたことについて心情を問われた伸康氏は、「選挙は自分との戦い。相手がどうとかではない。父の背中を見てそう思ってきた」と話した。

県町村会は2022年11月の知事選を巡り、自民県連が別の推薦候補をいったん決めた状況で岸本周平氏の推薦を打ち出し、自民の候補者選定をひっくり返して岸本知事誕生の流れを主導した経緯がある。今回も、俊博氏が次期衆院選への不出馬を表明し、後継者選びが混とんとする中で先手を打った格好。自民県連は21日に代表役員会を開いて候補者選びを議論したが、結論は出ていない。

23日の県町村会理事会後の記者会見で岡本会長は、俊博氏が自身の後継について「地元の判断に任せる」と発言したことにふれ、「町村会として意思を示す必要があった」とし、伸康氏が46歳と若く、俊博氏が政権中枢の幹事長時代から秘書を務め、俊博氏の手腕を間近に見てきた「即戦力」であることなどを出馬要請の理由に挙げ、「和歌山のために思いを持ってやっていただいた二階さんの息子として推した。町村会が要請することで、世襲の批判をやわらげることにもなる」と述べた。

新2区には共産党新人の前県議、楠本文郎氏(69)=御坊市=が立候補を表明しており、伸康氏が出馬すれば選挙戦に突入する。

 

左から日裏副会長、出馬要請書を手にする二階伸康氏、岡本会長、西前副会長

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