各界の功労たたえ 春の叙勲県内38人が受章

各界の功労者に贈られる2024年春の叙勲の受章者が4月29日に発令され、県関係は55~89歳の38人(うち女性4人)が受章した。受章者の内訳は、旭日中綬章1人、旭日小綬章3人、旭日双光章7人、旭日単光章3人、瑞宝双光章10人、瑞宝単光章14人。今回を含めて県内の受章者総数は5103人(うち女性391人)となった。

5月中旬に県庁や各省庁で伝達され、その後、東京で天皇陛下への拝謁が行われる。晴れの受章者は次の皆さん。

【旭日中綬章】
宇治田栄藏(74)元県議、和歌山市南汀丁

【旭日小綬章】
稲葉眞也(72)県薬剤師会会長、和歌山市新高町▽佐伯誠章(79)元和歌山市議、同市中之島▽松本光生(73)元新宮市議、同市新宮

【旭日双光章】
榎本多津子(72)元県医師会副会長、和歌山市松ヶ丘▽加藤彰宏(70)元県高圧ガス協議会理事長、和歌山市栄谷▽土井邦夫(74)県知的障害者福祉協会会長、和歌山市府中▽前喬(89)元九度山町議、同町九度山▽森川起安(76)県商工会連合会副会長、那智勝浦町宇久井▽森本隆夫(85)元那智勝浦町議、同町勝浦▽脇村重德(79)元有田市代表監査委員、東京都北区上十条

【旭日単光章】
児玉悟(83)㈱児玉兄弟商会代表取締役、海南市下津町丁▽半田光男(81)元田辺市磯間町内会会長、同市磯間▽前島五十昭(80)和歌山市宮前地区第三十五区自治会会長、同市小雑賀

【瑞宝双光章】
井口悦治(74)元県環境生活部長、紀の川市名手市場▽生熊和道(70)保護司、串本町中湊▽井尻智久(70)元紀の川市消防団団長、同市上野▽久保博巳(67)元美浜町消防団団長、同町和田▽嶋美知夫(75)島米塗装店代表、和歌山市西浜▽島野勝義(87)元公立小学校長、橋本市隅田町霜草▽山口政明(76)元公立中学校長、広川町下津木▽山路正雅(76)元公立養護学校長、和歌山市太田▽湯川宗一(71)元公立中学校長、日高川町土生▽米田哲朗(73)元公立中学校長、紀の川市貴志川町井ノ口

【瑞宝単光章】
石橋正次(75)元橋本市消防団副団長、同市高野口町下中▽岡清司(72)元九度山町消防団副団長、同町上古沢▽岡根良安(74)元新宮市消防団副団長、同市高田▽岡本和浩(66)元日本郵政公社職員、田辺市東山▽翁長ゆかり(55)木ノ本こども園主幹保育教諭、岩出市溝川▽木多浦均(65)元かつらぎ町消防団団長、同町寺尾▽交田建二(65)元串本町消防団副団長、同町田並上▽小嶋裕子(64)児童心理治療施設「みらい」家庭支援専門相談主任、紀の川市東大井▽清水寛(70)元白浜町消防団分団長、同町日置▽白樫秀樹(76)元和歌山市消防団団長、同市今福▽鈴木栄子(64)元特別養護老人ホーム「熊野川園新館」ユニットケアリーダー、三重県紀宝町成川▽直川豊一(68)元日高町消防団団長、同町高家▽福田行男(74)元民生・児童委員、新宮市丹鶴▽矢野祐藏(83)元警察庁技官、白浜町中


県の災害対策に貢献

旭小 県薬剤師会会長 稲葉 眞也さん(72) ― 和歌山市新高町 ―

旭小 県薬剤師会会長
稲葉 眞也さん(72)
― 和歌山市新高町 ―

大阪薬科大学薬学部卒業後、1978年、和歌山市内に「真進堂薬局」を開設。県薬剤師会会長を務め、災害対策や迅速なコロナ対応、県立医科大学の薬学部新設などに貢献、尽力した。

一番印象深いのは、東日本大震災後の11年5月、宮城県南三陸町での活動。津波による建物一つない光景に、人生観が変わるほどの衝撃を受けた。通常、調剤薬局に1台はある袋詰め作業の分包機が町内に1台あるだけ。大切に使い、冷蔵庫の代わりにクーラーボックスで冷蔵用医薬品を保管するなど、多くを手作業でしながら被災者に接し、和歌山での南海トラフ地震を真剣に考え始めたという。和歌山に戻り、国と県に働きかけ、災害時など医師の処方で薬を供給する移動薬局車(モバイルファーマシー)を全国3番目という早さで導入。熊本、能登地震でも活躍し、熊本では交代で来る各県からの薬剤師チームのため、当時、全国的に希少だった同車両を現地に残す決断をし、役立てた。

同会長の職務で自社薬局を空けた時、従業員たちが不満を言わずに穴埋めしてくれ、2015年紀の国わかやま国体では、アンチドーピングの問い合わせに会員の薬剤師らが協力し、24時間対応の業務に当たってくれたことには心から感謝しているという。「『きょうは稲葉おらへんの?』と患者が訪ねてくれるのもうれしい。客と話すことが好きやからね」と、現在も窓口に立ち、在宅医療にも立ち会う。


子どもの安全守りたい

旭単 宮前地区第三十五区自治会長 前島 五十昭さん(80) ― 和歌山市小雑賀 ―

旭単 宮前地区第三十五区自治会長
前島 五十昭さん(80)
― 和歌山市小雑賀 ―

「いろんな人のおかげ。光栄な章でびっくりしている」と話す。2003年に和歌山市宮前地区第三十五区自治会、06年に同地区連合自治会の会長に就任。12年には同市自治会連絡協議会の副会長となり、いずれも現在まで務めている。

最も注力したのは、子どもの安全と安心の確保。2004年11月17日、奈良市で小学1年生の女児が下校中に誘拐、殺害された事件を受けて「悲惨な事件はもう起こってほしくない。登下校時の子どもの安全を守りたい」と、事件翌日に「宮前パトロール隊」を発足。通学路に地域住民が立ち、見守り活動を始めた。同年12月には、青色回転灯を付けた自動車でパトロールする「青パト」の活動も開始した。現在まで児童の登下校時はほぼ毎日、地域住民で協力し地道に安全確保に取り組んできた。軽犯罪の減少を実感しているといい、「子どもらが成長していく姿を見られるのがうれしい」と笑顔で話す。

隊は50代を中心に約130人で発足したが、現在は主に60~80代の約60人となり、「若い人にもっと参加してほしい。地域のつながりが生まれる」と呼びかけている。

「これからは南海トラフ地震を見据えて防災に力を入れる」と意気込む。東日本大震災や能登半島地震を踏まえ「避難所での関連死を防ぎたい」と言い、ボランティアの受け入れ態勢の確保や、避難所にある物品の確認と共有、発電機の動作確認などの徹底を図っていく。

 

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