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和歌山さんぽみちプロジェクト

和歌山特産の「ぶどう山椒」

前号では、日本最古のスパイスとされる「山椒」の歴史と種類を取り上げた。さまざまな種類の山椒の中で、和歌山県内で主に栽培されている「ぶどう山椒」について紹介したい。
ぶどう山椒は、香りに優れた「朝倉山椒」から派生した系統。ぶどうの房のように大粒の果実が実ることから、その名が付けられたとされる。
県内での歴史は古く、平安時代中期に書かれた「延喜式(えんぎしき)」という法令がまとめられた書物に、「紀伊国秦椒三升」と記載がある。これは、現在の和歌山県から山椒が貢納されていたことを示している。また、高野山に残る、正嘉年間(1257~59)に書かれた文書には、地域の特産物として山椒が存在していたことが示されており、800~1000年の歴史があるといえる。
ぶどう山椒は、江戸末期の天保年間(1831~45)に、現在の有田川町遠井(とい)にあった「医要木(いおき)勘右衛門」が、自宅の庭に大粒の果実を付けた山椒を発見。香り高く、辛味も強いことから栽培が拡大したという。医薬品としての需要が高いことから、勘右衛門の屋号として「医要木」の名が付いたとされる。
山椒の栽培は、西日が当たらず、日照時間が短い中山間地域が適している。有田川町(旧清水町)は標高500㍍程度で傾斜地が多く、山椒の栽培に適している。この地域の地形と風土が日本の一大産地を形成している。
ぶどう山椒と朝倉山椒を見比べてみた。指で潰したときの香りに大差は無いが、一粒のサイズは大きく、枝から多くの果実が連なっている。筆者が手にしたのは5月下旬ごろに収穫される実山椒と呼ばれるもので、このままでは食することができない。次週は実山椒の調理方法を紹介したい。
(次田尚弘/和歌山市)