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2009年03月10日
「赤い唇とアメリカ」~チェンジリング~  


銀幕への招待状 web版 Vol.1
chengeling.jpg 真っ赤な口紅の色が印象的なアンジェリーナ・ジョリー。彼女は電話交換手のリーダー的な存在だ。ローラースケートでオフィスの中を行き来するのが何ともモダン。1928年といえば昭和3年。ぼくらの国では、こんな風に粋な女性が警察権力に向かってゆくことなんてあったのだろうか。
 物語はある日、彼女の一人息子が失踪したことから始まる。もちろん警察に通報するのだが「すぐに見つかる」というお気楽な返事しか返ってこない。そして数ヶ月が経過し、警察から「息子さんが見つかった」との連絡が入る。ところが汽車から降りてきた“息子”は別人。身長も癖もまったく違う赤の他人。しかし「違う」と主張する赤い口紅の主人公は「心が病気」と精神病院へ強制収容されてしまう…。
 実話を映画化した作品というのはいっぱいあるのだけれど、この映画は「掛け値」なしの実話だという。1928年という時代背景のアメリカ。警察は汚職にまみれ絶対的な権力を持っていた。自らの捜査ミスを他人に転嫁することなど当たり前のことだったらしい。
 この映画は赤い口紅の女が、息子の失踪を機に警察権力に闘いを挑むドラマ。息子を捜す過程で、もうひとつの重要な殺人事件が起こり、それがまた余計に緊張感をあおる。単純に見えて、なかなかどうして複雑な顔をもった作品だ。監督はクリント・イーストウッド。名優と言うよりも、今や強いアメリカの光と陰を描くことに長けた名監督。「ミスティックリバー」で3人の幼なじみの男の悲劇。「ミリオンダラーベイビー」で尊厳死にスポットを当てたイーストウッドが演出するのにふさわしい骨太な物語。
 ポッテリした唇が肉感的なアンジェリーナ・ジョリー。その唇を強調するような赤い口紅。実はこの映画のキモはここにあるように思う。権力に対して口を挟むことが許されなかった時代にあって、モノを言う意志を持った唇。それが彼女の口紅だったような気が。 イーストウッドの静かな演出の中でキラリと光るのはこの赤い唇。けっこう意識的な強調法だったと感じるのはぼくだけだろうか。(山本哲也)


2009年03月10日 11:49


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