わかやま新報は、和歌山市を中心とする和歌山県北部唯一の日刊新聞です。
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2003年12月03日

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特定の省を大切にした関係が相互にとってのメリットに
5_5.gif ■2003鶴保庸介

 中国出張である。実はミャンマーヘ行く途中にアモイにトランジットすることになり、数時間の間、市内を歩き回ることができた。
 実はアモイは台湾の金門島と海を隔ててほんの数キロの距離にある。ご存和のように台湾と中国は体制の違いから今も大変な(少なくとも日本から見る限り)対立がある。現に台湾を望むアモイの海岸線沿いには金門島に向けて統一中国なるプロパガンダ看板がでかでかと掲げられ、両国の緊張感を思い知らされる。しかし、ひとたびアモイ市内に眼を向けると、そこには台湾資本が堂々と根を張っているのである。ホテル、コーヒーショップ、レストラン、おみやげ物屋に衣料品店。台湾人の経営者がいくつものチェーン店で「中国人」を雇っている。アテンドしてくれた現地スタッフに違和感は無いかと尋ねると、どうしてそんなことを尋ねるのかとこっちが逆に驚きの目で見られたのには参った。水も漏らさぬ中台対立はうそか。
 現に私は台湾の陳水篇総統の就任式に出席しただけで、中国大使館にその事実を知られていたぐらいであったから、なおさらそう思った。そのとき、あることを思い出した。広東省にある南海市というところへ大仏の開眼式に出席したときのことだ。共産主義とは宗教否定から始まった…マルクス・レーニン主義とは…。あれ?文化大革命だよな。なんで中国で大仏だ? ただそのときの私はしたたかだなあと感じるにすぎなかった。しかし今回はそんな表現では片付けてはならない何かを感じたのである。それはわが国が中央政府として付き合っている北京政府の意向とはまったく違う何かがこの国の中にあるということだ。
 また、華僑というが、そのネットワークは北京を中心としたそれではない。それぞれの在郷のネットワークであり、しかも錦を飾る故郷は必ずといっていいほど出身県である。
 日本の政府もこうした実態を踏まえ、ビザの発給の可否を各省ごとに差別している。日本での不法滞在者が多いからか、福建省出身者には日本訪問のためのビザの発行はできないことなど案外知られていない事実であろう。
 私はこうした実態を踏まえ、あることを思い立った。それはわがふるさと和歌山県がすべての省に同じように付き合おうとしても限界があるということである。日本の県に当たる行政組織上のカウンターパートは中国の省であり、特定の省を大切にして徹底的にその省との関係を深くする政策をとるべきではないか。そうすればその省からの訪日の際は必ずといっていいほど和歌山を特別に考える。そういう風土が相互にとってメリットをもたらすことは言うまでもないし、ひいては北京政府が流すステレオタイプの情報に一喜一憂することもなくなる。とにもかくにも広い中国、一つの省だけで、日本一国と同じくらいの人口のあることを忘れてはならない。


(2003鶴保庸介)
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