わかやま新報は、和歌山市を中心とする和歌山県北部唯一の日刊新聞です。
f_ss_nikai.jpg 二階 俊博
f_ss_nishi.jpg 西 博義
f_ss_ishida.jpg 石田 真敏
f_ss_tsuruho.jpg 鶴保 庸介
f_ss_sekou.jpg 世耕 弘成
f_ss_ooe.jpg 大江 康弘
f_ss_kishimoto.jpg 岸本 周平
f_ss_sakaguchi.jpg 阪口 直人
f_ss_tamaki.jpg 玉置 公良
サイト内を検索


5_5.gif
<<メイン>>
2005年05月03日

ganba_title.jpg
山古志復興に尽力 文化財保護法 改正受けて 重要文化的景観に選定を
5_5.gif ■2005西博義

 四月二十六日、 「棚田振興議員連盟」 総会を開催し、 講師として写真家の中條均紀(まさのり)さんをお招きした。
 中條さんは、 新潟県中越地震で大きな被害を受けた旧山古志村(現在、 長岡市に編入合併)の風景を十八年、 撮り続けてきた。
 この三月には、 山古志の美しい風景をとらえた中條さんの写真集 『古志の里Ⅱ』 が 「林忠彦賞」 を受賞している。
 この 「林忠彦賞」 は戦後写真界に大きな足跡を残した写真家・林忠彦氏の業績を記念して出身地の山口県周南市が主催し、 優れたアマチュア写真家に贈られる賞である。
 棚田振興議員連盟総会で、 中條さんは、 震災で壊滅状態になる前の山古志村の写真をプロジェクターに映しながら話をしてくれた。
 中條さんの写真には、 山古志の魅力が満ち溢れている。 丘陵地の斜面に広がる森林や棚田・棚池、 ニシキゴイの養殖、 そして、 そこに生きる人々の暮らしが詩情豊かに、 また、 ときには幻想的に写し出されている。
 昨年十月二十三日に発生した新潟県中越地震。 地震発生時、 中條さんは山古志に滞在しており、 地震の衝撃を体験し、 その凄まじさを目の当たりにした。
 震度計が激しい揺れで壊れたため、 正確な震度はわからないが、 震度計の針は、 最大震度8のメモリを振り切っていたという。 地震やそれに伴う土砂崩れで、 地震発生前の美しい風景は一変してしまったそうである。
 現在、 中條さんは、 収益を寄付するために、 写真集 『山古志ふたたび』 を出版するなど、 山古志の復興支援活動に取り組んでいる。
 中條さんの写真は、 震災前の山古志の姿を知る貴重な記録であり、 旧山古志村の人々にとって精神的な支えであると思う。
 政府は、 三月二十九日、 「山古志復興プログラム」 を発表した。 旧山古志村が作成した 「山古志復興プラン」 について、 新潟県と連携して行う国の支援策をまとめたものである。
 復興プログラムでは、 村に通じる道路が寸断されたため孤立し、 全村避難が続く旧山古志村の来年九月の帰村実現を目指している。
 大雪や道路の寸断などで遅れている復興への動きがようやくはじまる。
 旧山古志村には、 数十の土砂ダムができて多くの家が水没した。 集落の中には、 全世帯が集団移転を余儀なくされることとなったが、 雪解け後、 家々が土砂に埋まった状態のまま砂防工事を始める計画も決まった。
 昨年の景観法などの成立を背景に、 景観に配慮した道路・住宅などの復旧が行われる。 単に風景だけでなく、 山古志の豊かな暮らしや文化の復興を目指さなければならない。
 美しい棚田、 ニシキゴイ発祥の地、 国の指定重要無形文化財 「牛の角突き」 と呼ばれる闘牛。 山古志に残る景観や地域文化は、 非常に文化的な価値が高い。
 文化庁では、 文化財保護法の改正を受けて、 重要文化的景観を選定し、 文化財としてその保存・活用のため、 必要な支援措置を講じようとしている。
 私は、 この山古志が重要文化的景観としても選定され、 失われた文化的遺産の復元の手助けになればと思う。 山古志復興のため、 微力ながら力を尽くしてまいりたい。


(2005西博義)
5_5.gif


5_5.gif

この記事と関連がありそうな過去の記事

powered by weblio