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2006年05月30日

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事実に基づいた報道、議論を 野党も承認の国際条約に添った共謀罪
5_5.gif ■2006谷本龍哉

共謀罪の経緯
 現在、 衆議院の法務委員会で 「共謀罪」 の審議が難航している。 正確には、「組織的な犯罪の共謀罪の新設」 というものであるが、 この法案についての様々な議論や報道を見ていると、 誤解に基づいているのか、 故意に流しているのか判断しかねるような 「間違った情報」 が多く見られる。
 そもそも、 この法案が提出された背景は、 2000年11月に国連総会で採択された 「国際組織犯罪防止条約」 にさかのぼる。 近年、 急速に複雑化、 深刻化している国際的な組織犯罪に対処するために、 各国が国内法を整備しようという趣旨のもので、 その条約の中に、 「組織的な犯罪に対する共謀罪」 を整備することが明記されている。 日本は、 2003年5月に国会でこの条約を承認した。 承認した以上は、 国内法を整備し、 条約締結へと進むのが普通の筋道である。
民主党、 共産党は条約承認に賛成した
 しかし、 現在、 「国内法の整備」 の段階で野党の反対により審議が行き詰まっている。 賛成、 反対はそれぞれの党の自由であるが、 ここで指摘しておきたいのは、 2003年の条約承認の国会審議では、 民主党と共産党はこの条約に賛成しているという事実である。 条約に賛成すれば、 当然国内法の整備に同意したことと同じである。 そして今回の法案は、 まったく条約に添ったものである。 また、 「条約には賛成だが、 法案の内容が問題だ」 という声もあるので付言しておくと、 民主党が示している修正案は、 ①共謀罪の対象を 「法定刑5年超」 の犯罪に限定、 ②共謀罪を国際犯罪に限定、 というものであるが、 本条約では明確に 「法定刑4年以上の犯罪」、 「国際犯罪への限定は禁止」と記されており、 客観的に見て修正案は明らかな条約違反である。 条約に賛成して、 今回の法案に反対するのであれば、 もう少し整合性のある説明が必要ではないだろうか。
報道の中の誤解
 また、 報道の中にも誤解に基づくと思われる表現が散見される。 例えば、 「酒の席で上司の悪口を言って、 『殺してやろう』 と言っただけで逮捕される」 「友人と自転車を盗む話をしただけで犯罪になる」 「脱税の相談をしただけで捕まる」 といった類の話である。 これらはすべて 「共謀罪」 とは関係がない。 「共謀罪」 の対象は、 「組織的な犯罪集団(共同の目的が重大な犯罪を実行することにある集団)」 に限定されており、 個人が同僚や友人と犯罪実行を合意しても 「共謀罪」 は成立しない。 また与党修正案では、 犯罪の合意だけではなく、 一定の準備行為(現場の下見、 凶器の入手など)が要件として明記され、 客観的な準備の証拠がなければ処罰されないものになっている。
正確な情報による判断
  「国際組織犯罪防止条約」 については、 現時点で120カ国が国内法の整備を終えて締結している。 先進8カ国(G8)で見れば、 英・米・仏・加・露の5カ国が既に締結し、 独・伊も国内手続きを終了している。 もちろん、 だからと言って無条件で通せというのではなく、 正確な情報により国民の懸念を解消し、 何が国民にとって最良であるか、 事実に基づいた議論をすべきだと考えている。


(2006谷本龍哉)
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