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2006年12月26日

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「嫌われ役」と「仲介役」の間で 児童虐待 相談所体制の見直しを
5_5.gif ■2006谷本龍哉

 私が内閣府において担当している分野の1つに 「青少年問題」 があり、 その中の最重要課題の1つが 「児童虐待問題」 である。
  「児童虐待」 は、 弱い立場にいる子供達が、 本来保護すべき立場の親等から、 心身に大きな被害を受け、 場合によっては死に至る、 極めて重大な 「犯罪」 である。
 政府は平成12年の児童虐待防止法制定以来、 虐待防止ネットワーク作り、 司法の関与の強化、 児童福祉士の増員などさまざまな児童虐待防止対策を進めてきた。 しかしながら、 平成17年においても、 虐待相談数は3万4472件にのぼり、 検挙された虐待事件は222件、 38人の児童が死亡している。
 児童虐待の原因となる社会的な要因を解決するための取り組みが重要であることは言うまでもないが、 同時に、 実際の現場で対応にあたる児童相談所の体制の見直しも必要ではないかと私は考えている。
 児童相談所は、 現在、 相反する2つの使命を同時に担っている。 1つは、 児童の生命の保護を最大の目的として、 状況によって親から子供を引き離す役割である。 そしてもう1つは、 親の権利を尊重して 「再統合」(児童の家庭復帰)を進める役割である。
 強制的に家庭に介入し、 親から子供を引き離す行為は、 親との信頼関係を損なう。 一方で、 虐待がなくなれば子供にとっては親とともに暮らすことが最良であり、 再統合を進めるためには親との信頼関係が不可欠である。 虐待事件の場合、 親がうそをついたり、 子供を大事にしているふりをするケースが多々あるため、 信頼関係を重視し過ぎると、 手遅れになる可能性が高くなる。
 児童相談所の現場は、 この2つの矛盾する役割の間で苦しんでいるように、 私には見える。 確かに、 どちらの役割も現場を熟知していなければ成り立たず、 児童相談所が両方の役割を担うべきとの意見も理解できる。 しかし、 他の先進国を見ると、 この2つの役割を別々の機関に任せている国もある。 子供の生命を第一と考えるならば、 「嫌われ役」 と 「仲介役」 を、 何らかの方法で分離すべきではないだろうか。
 最後になりましたが、 本年中は大変お世話になりました。 来年も変わらぬご指導、 ご鞭撻をよろしくお願いいたします。
 皆様にとって2007年が良い年でありますよう、 お祈りいたします。


(2006谷本龍哉)
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