■2008鶴保庸介
「姫の虎退治」 は、 はたして有権者の正しい選択だったのだろうか。 民主党の女性参議院議員の行動を云々するつもりはないが、信念がなさ過ぎる。党籍を変わることに違和感を覚える時代でなくなったとはいえ、余りに「軽く」はないか。 私自身も過去に何度か党籍を移動することになった。しかし、そのつど、脂汗が出るほど悩んだり、涙の別れや悔しい思いをしてきた。そしてだからこそ、 新天地では後ろ指をさされないように結果を出さねばと歯を食いしばって頑張ってきたつもりである。 しかし、 今回のことを見ていると、 女性議員の党籍離脱騒動にそれほどの決意があったとは到底思えない。 同じ参議院議員として何がしたいのか良くわからない、 というのが正直な感想である。
参議院議員の役割はいくつもある。 中長期的な観点から日本の国益に資するものを粘り強く行い、 社会の良識と秩序を維持するというのがその主たるものではないだろうか。
以前、 この稿で紹介したこともあったと思うが、 ODAの視察でヨルダンを訪問したときの返事が届いた。 歴史的休戦を果たしたヨルダンとイスラエルを結ぶたった2本の橋。 そのひとつであるキングフセイン橋が、 日本のODA予算で建設されていることは日本人ですら知るものは少ない。
私たち超党派の参議院議員でヨルダンを訪れた3月には小さな顕彰碑ひとつ。 これではいけないと私は強く主張したものである。 もっと大きな看板を。 日本国民は期待しています、 あなた方の平和を希求する心に。 そしてその期待に応える気持ちがあるなら日本のこの思いを世界に向けて発信してほしい。 民主党、 共産党の議員も応援の弁を続々取ってくれた。 その結果が下の写真である。
平和を願う気持ちと次世代への責任感。 万国共通の思いが通じたと感激をしたものである。 しかし、 昨今の政治には飽き飽きしたと思う諸氏も多いだろう。 マスコミに取り上げられ知名度を上げることに汲々とする政治家。 胡散臭い資金が乱れ飛んでいる政界というイメージをまさに冒頭のような事例が裏付けしてしまっている。 私にも責任のないことではないが、 あえて言う。 国民のための政治に虚飾は通用しない。 もう国家の危機はすぐそこまで来ていると思うから。 選挙が近付いているというこの季節、 有権者には真摯な判断を期待するものである。
(2008鶴保庸介)
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