■2002二階俊博
前号でインドネシアの独立記念式典に、出席した際のレポートをしました。八月十六日でしたが、要人会談の合間の午前中の自由行動の時間を活用して私は、スズキ自動車の合弁会社「インドモービル・スズキ・インターナショナル」を訪問することにしました。
現農林水産大臣の大島理森自民党国対委員長と、現経済産業副大臣の西川太一郎保守党国対副委員長が、一緒に行ってくれることになりました。
ジャカルタからハイウエーを約一時間位走ったところに、タンブンという町に大きな工場が元気よく動いていました。
ジャカルタのホテルまで迎えに釆てくれたスズキの代表者で、合弁会社の松永和己副社長の案内で、インドネシア側の代表者や、会社の幹部が出迎えてくれました。
会社は一九九一年一月、資本金四千五百万ドルで設立されました。インドネシア側が五一%、スズキ側四九%の株主の構成で、日本人の駐在員が十九人で現地採用者四千二百四十九人とのことであり、臨時を含める約六千人が働いている大工場でした。
営業実績は昨年は、四輪車の販売台数が五万三千百九十台、二輪車の販売台数二十九万九千六百四十五台併せて、三十五万二千八百三十五台の実績を誇り、インドネシア経済に大きな貢献をされている様子は心強いものでした。
売上高は、二〇〇一年の実績が六兆一千九百五億ルピア(約六百十九億円)、二〇〇二年の修正売上計画は八兆三千五百八十億ルピア(約八百三十六億円)となっているとのことであった。
工場の中は整然としており、若い男女が、キビキビと働いている様子は、一見してこの合弁会社は成功しているなと感じました。
工場の中に休憩中のオヤツでしょうか、生卵が篭に山盛りになって置いてありました。尋ねますと工場長は、「これは社員の栄養補給のため開業当時から続けています。しかし、このごろは、生活レベルも上がってきましたので、これを廃止してお金で支給するようにしては、とも考えています」とのことでした。
しかし日本では考えられないことですが、従業員に対する会社側の配慮が何となくうれしく、ほほ笑ましく感じます。記念撮影を求められたりしましたが、いかにも真面目そうな、社員の皆さんにねぎらいの言葉をかけながら、スズキさんも立派なことをしてくれているなあと一同から賞賛の声が上がりました。
日本を出発する前日、旧知の鈴木修会長にお目にかかった際、インドネシアに工場ありますかと尋ねたところ「ありますよ、ぜひ立ち寄ってくださいよ」とお誘いを受けての訪問でしたが、インドネシア国内だけではなくこれからASEAN(東南アジア諸国連合)諸国へ輸出をしようという意気込みに、大いに拍手を送るとともに社員の皆さんのお顔を思い浮かべながらその成功を祈っています。
(2002二階俊博)
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