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2002年11月05日

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国土交通大臣政務官を拝命 より活発に大臣を補佐
5_5.gif ■2002鶴保庸介

 このたび国土交通大臣財務官を拝命した。
 先般の政治改革の中で、政治家が行政を、主導しなければならないという趣旨で、大臣の下に副大臣とともに設けられたポストである。旧政務次官に当たるが、より活発に大臣のリーダーシップを補佐するという役割である。国土交通省の大臣はご存知、扇千景。いつも「かわいがって」くださっている党の先輩というだけでなく、直接の上司に当たる事に。不安と期待の入り交じった気持ちで初登庁。多くの幹部職員の歓迎を受けて大臣室横の政務官室、そして庁舎最上階の大会議室へ。少々気恥ずかしいが、職員の前で訓示をたれるのである。
 国土交通省といえば外局を合わせると職員は六万人以上、局長だけでも数十人はいるマンモス官庁である。その津々浦々に省内放送として新政務官の言葉が流れます、と秘書官がさらりと説明するが、かわいい部下を嫌みなやつめと思ったのはこちらに自信が無いからか。でも私は政務官としては若い。飛び抜けて若い。調べてみるとどうやら史上一番目か二番日の若さらしい。そのはなたれ小僧が居並ぶ大先輩の前で行政について多少の抱負を述べるのである。少しは気の利いたことも言わなきゃならんのにと自分をかばいつつ会場へ。中には幹部職員に連れられてか、省内にいる学生時代の同級生なんかも冷やかし半分で見に来ている顔が見える。
 「私は間違えても自分の能力を恃むつもりはない。しかし、若輩だからこそ見える大きな時代の流れもある。国家のグランドデザインが今こそ問われているときは無く、百年後の日本を見据えた政策をこれからもやっていくつもりである」という趣旨の挨拶をしたかと思う。同級生が手を振ってくれていたのはありがたかったが、(あとで聞いてみると彼は上司にひどく怒られたそうで、宮仕えのつらさをおもいやった)果たしてどこまで真剣に聞いてくれていたか。でも秘書官いわく、「国家百年のグランドデザインを省内で考えるプロジェクトチームを立ち上げています。挨拶を聞いて政務官にも是非参加していただけないかと打診があります」と聞いたときは、役所もすてたもんじや無いなと安心した。
 利権、汚職、天下り。役所といえばとかく悪いイメージが先行するが、なかで働く大多数の職員は国家のために誇りをもって真剣に働いているのだ。もっと政治家が役所を信頼し、役所が政治家と信頼関係を築かないと、政治のリーダーシップはありえないと思った。先日も「昼食はなんにしますか?」と聞く秘書官に「職員食堂でラーメンを」というと、「食堂へいかれると職員が驚きます。ましてやラーメン、ですか…」といわれたときはこっちが驚いた。政治家はいつも料亭かなんかでご馳走を食へているイメージがあるというのである。これまで政治家が役所に対してどんな付き合いをしてきたのかはしらないが、これが和歌山方式なんだと無理やり説き伏せて、弁当片手の勉強会を企画させもした。
 私は言う、世間の考えは踏襲しないでほしい。公共事業ひとつとってみても経済効率ばかりを持ち出す昨今の考え方に大いに疑問を感じてほしい、と。たとえば過疎の村に新宿の摩天楼を一棟建てたとする。するとその村のかかえるほとんどの問題が解決する。一階は役場。二階は病院。三階は学校。四階以上は居住区などとして、すべての村民を住まわせる。下水も完備、冷暖房も完備、長い電線を引いてくる必要だって無い。経済効率はまさに二重丸。でも、これがナンセンスなことはだれだってわかるはず。ところが、東京にすべてを集中させようとする昨今の考え方はこれを国家的規模で行おうとしているといっても過言ではない。
 こうした違和感を多くの人が感じていながら何もいえない。こうして落とし火にはまっていく。
 そのときは原点に返る。公共事業の目的とは。人の幸せとは、豊かさとは。そして人生とは。もっと遠くを見つめて、過去をにらんで、今何が必要かを考えてほしいと。
 若輩政務官、がんばろうじやないか。人に言い、自分に言い聞かせる毎日である。


(2002鶴保庸介)
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