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2004年01月28日

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新直轄道路の導入で柔軟性を 高速道路の季節料金、時間料金の設定
5_5.gif ■2004鶴保庸介

 昨年の暮れには南部までの高速道路が開通した。便利になったことはもちろんのことであるが、白浜までの商圏が大阪から兵庫、京都まで広がったこともこれからの和歌山の発展に大いに貢献すると思っている。
 ただ私はこのような社会インフラはもっと効率的に利用できる余地があると考えており、一昨年の政務官就任以来、国土交通省の内外で高速道路の料金の弾力的運用を主張し続けてきた。一見してほとんど走る車がないような時間帯まで正規の料金を徴収する必要があるのか。
 しかもその料金が安ければまだしも、海南―湯浅間などは日本一といわれる高料金なのである。
 確かに、和歌山の高速道路はトンネルが多く、建設コストが割高であり、これが料金にはね返っているという特殊事情は理解できる。しかし、公立学校施設の夜間開放など、既存施設を利用して新規建設を節約しようとする世の中である。どうして道路だけ特別でありえようか。
 夜間や日中の一定の時間帯に通るとスイスイ通るのに、一般道は渋滞しているというのでは高速道路が効率的に利用されているとは言いがたい。
 特に、高速道路の在り方の議論のなかで原則として無料通行の「新直轄国道」という考え方が取り入れられた。これは、「高速道路は国民財産であるから、国の予算と責任で従来の国道整備と同じように高速ネットワークを整備していこう」というものである。とするならば、現状の高速道路の料金もそのままに放置しておいてよいのか。
 作ってしまったところは今までどおり料金を取り続け、新しく作る新直轄国道は料金を取りませんでは納得されないばかりか、そのことを盾にとって新直轄国道の建設が後回しにされかねない。
 ただ、かといって料金収入によって維持管理を行っている高速道路の全線をすべて無料にすることは現実的ではない。なぜならこれまでの高速道路網の整備計画は料金収入を前提に作られており、これがなくなると代替財源をどこに求めるかが大問題になるし、料金が障壁となって道路の通行キャパシティーを超えないような適正通行量を維持している面もあるからである。従って現在のところ料金徴収そのものを廃止せよとまでは主張しない。
 国の公共財産である高速道路を効率的に活用するためにも季節料金、時間料金を設定することを工夫せよと言っているのである。新幹線や飛行機だって、早割りや事前割引、などと弾力的な料金設定を導入しているではないか。
 そんなことから国土交通省は一昨年末に新たな制度を提案した。それは特定路線を実験的に料金を引き下げ、もしもそれによって赤字が出たら、その分を国と地方自治体が半分ずつ負担しようというものである。地方提案型にしたのはその料金引き下げのやり方を自由に考えてくださいということを明確にしたかったからである。
 当然料金を引き下げれば通行量が増えて収入が増えるので赤字が出るとは限らないが、引き下げの時間帯は自由に設定できるばかりか、ETC限定車だけに割り引きするなど引き下げる対象をどのようにするかも工夫できることで赤字の発生を最小限にできる。赤字を出すことがどうしても怖ければ、渋滞するような時間帯に、料金を引き上げることも可能である。対象の路線のどの自治体が負担の責任を持つかも自由である。
 事実、いくつかの自治体からの提案があり、引き下げによって通行量が増え、赤字を生まずにすんだところもある。しかるに、現在のところ、肝心の我が和歌山県からは何の提案も受けていない。
 日本一の高い料金が設定されている路線を抱え、他府県からの交流人口を増やすことが和歌山の活性化につながるのはだれも異論がないはずである。その意味でわが県には明確なインセンティブがある。先述した通り、新直轄路線の導入により、高速道路は公共物としての性格がより強いものになった今、県民市民による有効な利用を考えるべきである。地方提案型のスキームがある以上、具体的な統計や予測を明示され検討されることを強くお願いしたい。


(2004鶴保庸介)
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