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f_ss_nikai.jpg 二階 俊博
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f_ss_tsuruho.jpg 鶴保 庸介
f_ss_sekou.jpg 世耕 弘成
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2004年09月15日

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私たちの貴志川線を守ってください
5_5.gif ■2004鶴保庸介

 プロ野球スト回避。 電車で乗り合わせた人が広げるスポーツ新聞に大きく躍る見出しを見ながら、 電鉄会社の窮状を思った。
 そう、 南海貴志川線のことである。
 ご存じの通り、 南海貴志川線は大正三年に和歌山軽便鉄道として発足して以来、 和歌山市と貴志川町を結ぶ歴史ある 「市民の足」 であり続けた。 その貴志川線が時のモータリゼーションの波を受けて経営危機に陥っているのである。
 南海鉄道としても関西空港の予想外の低迷により多額の投資をして敷設した関西空港線の失敗など、 会社としても無理もない部分もある。
 また、 在京の電鉄会社なら支線とはいえ廃止問題がこれほどの問題になっているところはなく、 人口集中が、 電鉄会社の経営を圧迫していると言わざるを得ない。
 しかし、 「はい、 そうですか」 とここで物分かりのいい顔をするわけにはいかない。
 貴志川町の発展はひとえに貴志川線にかかってきた側面がある。
 沿線の交通センターや各種学校、 団地がなぜあの立地に建設されたのか。 これらの学校に通う生徒はどうなるのか。 とくに交通センターに免許の停止を受けて車で行かざるを得ないというのも笑えない話である。
 また、 貴志川町のような人口増加地域においてローカル線の経営が成り立たなくなるからといって、 廃止を容認するなら全国のローカル線全体の経営をみなおさなければならなくなる。
 とくに問題なのは、 貴志川線を廃止した場合代替輸送としてバス路線を設置しようにも道路の整備はそれに対応できるほど充実していない。 マイカーで行こうにも朝晩の渋滞がひどくなることは目に見えているのである。
 関西空港への路線が南海鉄道の経営を圧迫しているという指摘もあるが、 新規の航空会社も羽田―関西空港便に参入の意向を表明してくれたところである。 関空も二〇〇七年度の二本目の滑走路完成に向け、 これからよくなる。 さまざまな国からの直行便が出入りすることになるいま、 この山を乗り越えることがどれほどの意味を持つかは論じるまでもないだろう。
 また、 世界遺産効果で高野山へ行く観光客の増加は決して高野線を持つ南海にとっても少なくない効果をもたらすはずだ。
 しかし現実は多くの方々に貴志川線の存続を要望されてきたにもかかわらず、 利用客は年々減っている。 国土交通省もどうすれば経営がうまくいくか、 よその地域ではどんな事例があるか、 補助金などの援助策はないかなどを存続に向け全力で努力をしているが、 だれが悪い、 かれが悪いと言ってみても結果は同じ。 乗客が減っていてはどうしょうもない。
 このようなことから先日は、 和歌山市、 貴志川町の協力を得て貴志川線を守るシンポジウムが開かれた。 急な呼びかけであったにもかかわらず、 多くの方々に集まっていただき有意義な会合が開けたと自負している。 これだけの方々が大いなる運動を起こし渦を巻き起こすことしか、 ふるさと貴志川線が復活する道はない。 お座敷列車、 自転車列車、 イベント列車などさまざまな工夫を凝らしながら地元の協力を経て赤字路線が復活した例はないわけではない。
 また、 一度廃止した線路が復活することはめったにあるものではない。
 多くの熱意ある人々の努力と運動によって支えられてきた赤字ローカル線が運命の岐路を迎えている。 「ご近所の馬鹿力」 が今こそ必要であると痛感する次第である
 当たり前のことを再び言おう。 みんなで貴志川線に乗らないか。


(2004鶴保庸介)
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