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f_ss_nikai.jpg 二階 俊博
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2007年10月02日

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学ぶ意欲、自立心の育成へ 子ども農山漁村交流プロジェクトに期待
5_5.gif ■2007西博義

 今、 学力低下が心配されているが、 日本の教育にとって最も深刻な問題は、 子どもの 「学ぶ意欲」 が低下していることではないかと思う。
 7年前に東京大学の佐藤学教授が 『「学び」 から逃走する子どもたち』 という本で指摘したように、 教育を受けることを進んで放棄しているように見える子どもたちが増え、 問題となってきた。
 佐藤教授によれば、 学力低下は、 学びからの逃走に起因するという。
 神戸女学院大学の内田樹教授は、 『下流志向』 の中で、学びからの逃走が起きているのは、 子どもたちが小さな頃から否応なしに経済活動に巻き込まれ、 「生活」 「労働」 の意味を教えられる前に、 すでに消費者的な態度が身についてしまうからだという見方を示している。
 最近の子どもには、 食事の後かたづけや庭掃除、 お使い、 靴みがきなど家事労働に携わる機会が減っている。
 一方で、潤沢なおこづかいをもっていて、小さなときから 「お金さえあれば大人と同一のサービスを受けることができる」 という消費者としての全能感を味わっている。
 消費者が価値や有用性が理解できない商品は買う価値がないと判断するように、 子どもたちは、 学校で 「自分に有用性が分からない、 役に立たない勉強はしなくてもよい」 と考える。
 それがいかに幼い価値判断であるかどうかにかかわらず、 身についてしまった消費者的な判断で物事を考えるというのである。
 さらに、 この学びからの逃走は、 『労働からの逃走』 へとつながり、 ニートという問題を生み出しているという。
 こうした見方については、 いろいろ意見もあると思うが、 子どもと社会への関わりについて、 よく考えることも重要だと思う。
 来年度の概算要求には、 子どもたちに学ぶ意欲や自立心を育む機会を提供するため、 「子ども農山漁村交流プロジェクト」 が盛り込まれた。
 公明党が長年主張してきた体験学習を総務・文部科学・農林水産の3省が連携して実施するものである。
 来年度は1学年(100人程度)の児童を受け入れるモデル地域を全国に40カ所設定し、 約470校のモデル校が1週間程度の宿泊体験活動を行う。
 最終的には全小学校で、 年間120万人の実施に向け、 5年間で500カ所の受け入れ地域をつくる計画である。
 概算要求に先立ち6月13日、 公明党総務・文部科学・農水部会で古くから山村留学に取り組んでいる長野県大町市八坂地区を視察した。
 山村留学生は、 実施主体である 「育てる会」 の職員の指導を受けながら、 共同合宿と農家民宿を2カ月ごとに繰り返し1年以上、 農山村で生活する。
  「育てる会」 の代表は、 「留学を通じて家族や他人への感謝の気持ちや自分の役割を強く認識するようになる」 と子どもの成長に自信を示されていた。
 郷里の詩人、 佐藤春夫が 「空青し・山青し・海青し」 と詠んだ和歌山県には、 子どもたちの体験活動にふさわしい地域はいたるところにある。
 私の地元にも豊かな自然が残っていて、 住んでいる人も素朴で人情に厚く、 ぜひ子どもたちに宿泊体験してもらいたいと思う。
 共同生活、 自然との触れ合いや農林漁業などの体験を通して、 子どもたちが、 社会性を育み、 好奇心や学びへの意欲を高めていくことを期待している。


(2007西博義)
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