■2007鶴保庸介
福田内閣が発足し、谷垣政調会長の補佐という仕事をさせていただくことになった。私はこれまで猟官運動をしたことがないから、今回も淡々とお受けするのみ、と心を決めてはいたものの、初めての部署なので予測がつかない。そこで過去に担当したことのある先輩議員に聞いてみた。「少しゆっくりできるかな」という感触であった。これまで道路公団民営化時代の国土交通大臣政務官、復活水産部会の初代部会長、社会保険庁問題吹き荒れる厚生労働委員長、とありがたいこと(?)になにがしかの問題がある部署ばかりを歴任させていただいたので、さびしくはあったが、ほっとした心持。しかし、やはりこの世界は甘くはない。そもそも、野党が第一党になってしまった参議院において、「法案の嵐作戦」と民主党がいきまいているのに、政策担当の本丸にいてのんびりしていられるはずはないのである。
まずは地方への政策説明会。民主党案とどう違うのか、与党案の含みはどこにあるのかを直接国民と対話しようということで、各都道府県に出向いて意見交換会を始めている。
また、実は私の担当は正式には党の政調会長補佐以外に参議院政策審議会副会長、参議院政策審議会国会対策担当、党法案対策プロジェクトチーム担当、党法案対策作業部会担当、と余計な(失礼)ものまでたくさんの肩書きがついているのである。特に後者二つの肩書きはこのたびの参議院での与野党逆転を受けて、新たに設けられた役職であり、民主党提出法案をわが党としてどのように取り扱うかを決めることになっている。場合によっては民主党の法案担当者を呼んで内容について聞く。これらの会議はほぼ毎日のようにやってくる上に、今まで経験したことのない事態のため、次から次へと会議のルーティンが変わる。私自身もいくつかの議員立法を手がけていたが、これではおよそ余裕はなく、また、議員立法を与党から出そうなんてとても許される雰囲気ではない。
しかし、よく考えてみると、この状態は政界再編がない限り、少なくとも次の参議院選挙までの3年間は続くのであって、この状態における国会運営に慣れていかなければならない。
政治家が真剣に政策を議論し、いかに国民のためになる政策を提示できるかがまさに問われる時代になったとも言えるであろう。この意味では「面白くなってきた」というのが最近の感想である。たとえば、これまでは民主党案が出てもほとんどの場合国会審議の表舞台に出ることはなく、その内容まで目を通すことなどなかった。中には提出していた事実さえ知らなかったというケースさえある。民主党の方も公式には否定するだろうが、公開の審議に耐えうる緻密な内容の法案であったかどうかははなはだ疑問というものも多い。しかしこれからはそうはいかない。財政状況を踏まえ、党として、他の政策との整合性のとれたものでなければならない。場当たり的、一時的人気取り政策の羅列ではとても責任政党とはいえない時代がやってくるのである。テロ特別措置法のほかに被災者生活再建支援法、農業者所得補償法案、年金流用禁止法などいよいよ国民の目に触れる論戦が開始される。その論戦の指揮官たる「政調」にあって、大いに議員としての「成長」を図りたいと思う。
(2007鶴保庸介)
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