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f_ss_nikai.jpg 二階 俊博
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f_ss_tsuruho.jpg 鶴保 庸介
f_ss_sekou.jpg 世耕 弘成
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2008年05月20日

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「必要な道路」とは何か もっと議論を尽くすべき
5_5.gif ■2008鶴保庸介

 道路問題には一応の決着がつくことになった。
 道路特定財源の関連法案は参議院本会議で否決され、 衆議院の本会議で再議決されたのである。
 参議院の本会議で党を代表して討論に立つことになったのでその一部を紹介したい。
 まず、 この法案によって、 地方道路整備臨時交付金の運用の改善と、 国庫補助負担率のかさ上げによって地方の負担を軽減していること。
 そして、 国の直轄事業の地方負担金や補助事業の地方負担分に対する地方道路整備臨時貸付金の創設により、 地方への無利子貸付が可能となっている。 要するに、 従来の特定財源の枠内であるが、 地方に手厚く、 独自性を持たせようとするものになったのである。
 しかし、 問題はこの中身ではない。
 そもそもこの問題について私が公式の場で議論 (本会議討論は議論ではなく、 言いっぱなしの場である) したのは一度もない。 といってもそれは私がサボっていたのではなく、 衆議院から送付された道路関連のすべての法案については、 民主党の横暴で、 参議院ではなんと財政金融委員会で審議することになったからである。
 当然財政金融委員会は税制や財政について審議する場であって、 国土交通大臣が出席することはできない。 その結果、 国土交通大臣が出席して、 議論することになったのは、 財政金融委員会と私が筆頭理事として所属する国土交通委員会の連合審査 (2つ以上の委員会にまたがる問題については連合して審査する制度だが、 ここで議決はできない。 あくまで参考意見として議論する場である) のたった6時間。 なんと、 衆議院から送付されてから60日間の間に審議されたのはたった6時間である。
 さすがにこのことには民主党内からも批判が多く、 先日もすれ違った複数の民主議員から、 「あなたの本会議討論はそのとおりだ」 と激励? をいただいたぐらいである。
 私は国会議員として議席をいただいて約10年になる。 その間、 野党の経験もあるし、 さまざまな数の横暴に出くわしてきた。 強行採決を 「された」 ことも 「した」 こともある。
 しかし、 そのすべてが何十時間もの時間をかけて議論したものであった。 今回のように、 議論そのものを放棄させておいて、 採決するというやり方はまさに議会の自殺であり、 そんな議会ならいらない。 だいたい予算案が通過したのちに、 執行段階になって、 その使い方を変えること自体、 現場の混乱を招くことなのに、 法案の中身についてまともな議論はほとんどせず、 というのはこれまで聞いたことがない。 繰り返すが、 多数党が採決を強行することに私は反対しているのではない。 それが党利党略といわれようが、 議論を尽くしている限り、 その間に新たな事実が発見されたり、 世論がそれによって喚起され (時は思惑とは逆のほうへ向かったりもするけれど) たりする。 だから議論は尽くすべきだといいたいのである。 今回にはそれが、 断じてない。 和歌山には府県間道路や紀伊半島一周の幹線道路の整備は焦眉の急である。 地域外の人から見れば 「それは無駄だ」 ということになろうが、 地域の崩壊は医療体制が整っていないからではない。 教育制度が整っていないからでもない。 人がいなくなっているからである。 人がいなくなっているのはなぜか? 産業が、 働く場所がなくなっているからである。 産業はどのようなところにできるか、 それは好き嫌いは別にして、 間違いなく幹線ネットワーク、 人、 もの、 情報のネットワークがあるところに集中しているのである。 こうした議論はどこへいったのか。 一体どのような哲学でこれからの道路、 ひいては地方を考えていくのか。 ほとんど議論はなされていないのである。
 先日もある民主党の議員が質問の中で、 道路特定財源を一般財源化してもっとODAにふりむけてはどうかと質問していた。 そこで総理が答えるに、 アフリカでも道路の建設はとても経済効果があって喜ばれています、 と。 和歌山県には道路は要らないが、 アフリカには必要だとその民主党議員は言うのか。 もうむちゃくちゃである。 マグロや観光資源を生かすのに何が必要か、 世界を相手にする地方分権を確立するにはどうしたらよいか、 もう一度よく考えてほしい。 「必要な道路」 とは何かをもっと掘り下げて議論すべきであったと思うのは私だけだろうか。 県民の皆さんの奮起をお願いする次第である。


(2008鶴保庸介)
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