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f_ss_tsuruho.jpg 鶴保 庸介
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2008年10月21日

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都会からどう呼び込むか「新過疎法」模索は始まったばかり
5_5.gif ■2008鶴保庸介

 自由民主党の過疎対策特別委員会委員長代理を拝命した。
 この時期に過疎対策などというとまた「守旧派」のレッテルを貼られかねないが、和歌山に住む我々にとってはそんな「風評被害」に屈してはいられない。
 和歌山県の過疎の現状は悲惨である。75歳以上の人口比率を示す高齢化率は平均すると40%をはるかに超え、そのほとんどの地域で医療体制は崩壊している。週2回程度の健康診断に行かねばならないお年寄りは交通手段がないため毎回「1泊2日」の小旅行だ。結果、「ほとんど毎日」病院へ行くことが日課。もちろん林業が衰退している現状では、目立った産業もない。したがって多くの人々のたよりは「年金」だという。
 そんな不便なところに住まなきゃいいじゃん、などと「いまどきっ子」に指摘されそうだが、残された多くのお年寄りに聞いてみるとほとんどがふるさとに住み続けたいとの返答をする。
 私たち調査会ではこれらの地域に何ができるかということを議論するとともに、これまで過疎地域に特別な過疎債を発行することのできる3年期限の過疎地域特別措置法を何度も更新してきた。
 平成22年度にはその更新時期が訪れるため、現行過疎地域特別措置法を新たに作成する役回りなのだ。国の財政状況を考えるともう「ばらまき」をすることなど毛頭できない。そこで、さきの「いまどきっ子」よろしく、アンケート調査をとって「撤退」、すなわち生まれ育ったふるさとを離れて行政コストのかからない便利な都市へ移住してくれるならば「補助金」を与えようなどという議論も飛び出してきている。
 もちろんこのようなアンケート調査を取ったとしても、多くのお年寄りはその「さそい」に乗ることはないだろう。ふるさとを離れる辛さは想像を絶するものがある。どんなに不便でもお隣さんがいるからと、古座川町のおばあさんが言ったことを覚えている。お隣さんとはどこのことかと問うと約300メートルほど向こうを指さして「あのお宅」という。おそらくお隣さんが急な病気で倒れてもすぐに知ることはないだろう。そして、自分も知られることは…。
 全国の過疎地域を自民党の調査会長代理として行脚してきたが共通した悩みも多い。一つ目は医療体制の充実確保、そして二番目はデジタルデバイド。テレビや通信手段の拡充。三番目は農林水産などでの少なくとも平均的な収入源。そして最後に道路もしくは地域バスなど日常の足の確保などである。私はこれまで過疎地域の発展はいつに収入源の確保にかかっていると考えてきた。しかし各過疎の地域を訪問してみて、「過疎問題」はこれまでのような単純な問題ではないことに気が付いた。沖縄県の竹富町などはダイビングあるいは観光のメッカとして多くの収入源があり、若者の流入が多いため、人口は減少どころか増えている。しかし、県外からの人口流入者のほとんどは定職を持たずその地域での観光産業に「季節的に」貢献をしているだけというものが多く、ほとんどが税金をろくに払っていないという。このためもし「過疎地域」としての手厚い保護がなくなれば行政サービスは崩壊すると私たちに訴えてきた。
 また青森県の田子町などではにんにくの日本的産地であり知名度も抜群のまちであるが、人口流出が止まらないという。聞いてみると若者は雪に埋もれた冬の季節を嫌って札幌や東京に移住していくのだという。彼らには決して「過疎」の村の貧しいイメージは無い。若者を駆り立てるエネルギーは「夢」なのだ。もう過疎問題は「お金」の問題ではなくなっている。
 和歌山県でも11月から田辺市で「秋津野ガルテン」なる施設がオープンする。ガルテンとはドイツ語の「クラインガルテン」すなわち長期滞在型農園のことで利用者は長期滞在、もしくは週末に宿泊し、農作業や田舎暮らしを楽しむというものである。都会への流出を嘆いてばかりはいられない。都会から呼び込む地方の力をどうつけていくか。新たな「新過疎法」における私たちの模索は始まったばかりだ。
    ◇   ◇
 「秋津野ガルテン」 連絡先=農業法人株式会社秋津野、 〒646―0001、 和歌山県田辺市上秋津4558―2、 0739・35・1199、 FAX0739・35・1192、 ホームページhttp://agarten .jp、 Eメール i nfo@agarten .jp


(2008鶴保庸介)
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