2011年08月02日

00.社会

「心強かった」被災者から援助隊に手紙届く

和歌山市消防局へ寄せられた手紙 - 「心強かった」被災者から援助隊に手紙届く

和歌山市消防局へ寄せられた手紙

「必ず以前よりも素晴らしい街にしてみせるので、ぜひ石巻にいらしてください」。東日本大震災の発生直後に宮城県石巻市へ出動した第1次・2次緊急消防援助隊県隊に、宮城県の大学生の女性から感謝の手紙が届いた。2次隊の県隊長で、和歌山市消防局警防課副課長の山下直樹消防司令長(51)は「われわれの出動が少しでも役に立ったことがうれしい」と話している。


緊急消防援助隊は平成7年の阪神・淡路大震災を機に、大規模災害に備え全国の自治体で創設された。県の援助隊は県内17消防本部の隊員で構成。創設されて以後、訓練は続けてきたが、近畿で大きな災害がなかったため、今回の震災で初めて出動した。第1次隊は3月12日から17日、2次隊は15日から20日まで派遣された。和歌山から石巻市まで直線距離で約1000キロ、片道約18時間かけて移動。1・2次隊の約220人は、余震が続き雪が降り積もる中、人命捜索に当たったが、85人の遺体を発見したのみで人命救助はかなわなかったという。

本来の使命を果たせず、隊員らが失意の中帰還し、しばらくして同市消防局に一通の手紙が届いた。薄いピンクにサクラソウが描かれた封筒に、便箋が3枚。石巻市に住む女性からだった。手紙では、女性がライフラインが絶たれ不安だった時、真っ先に和歌山からの消防車や救急車が何台も連なって駆け付けたことに触れ、「その頼もしい姿に感動し、ただただ涙が溢れてきました。どれだけ心強い存在だったか分かりません」とつづられていた。手紙は消防関係者で回覧し、県消防学校(和歌山市冬野)では、消防士の卵である入校生へも披露された。入校生はあらためて職責を認識し、中には感動して目を潤ませる者もいたという。

山下消防司令長は「実際に人命救助ができず無念だったが、温かい手紙で救われた」と話している。





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