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バイオカートの走行成功を喜ぶ生徒ら |
和歌山市西浜の県立和歌山工業高校(西英雅校長)の化学技術クラブは、企業3社と協同で廃油から製造したバイオディーゼル燃料(BDF)で走るバイオカートを完成させ、27日に同校で試走した。BDFは排ガス中の二酸化炭素排出量が軽油の3分の1以下と環境にやさしい燃料とされており、クラブ顧問の西垣内郁久教諭(40)は「一人ひとりの環境への意識付けを高め、環境問題改善に向けた起爆剤になれば」と期待している。
BDFは、使用済みの天ぷら油などを再利用することにより、大気汚染の原因となる硫黄酸化物を発生させないなどの利点がある。同クラブは昨夏、廃食用油を利用したBDFを精製し、それを燃料にしたディーゼルエンジンの駆動にも成功している。
今回、環境への取り組みに賛同した河西モータース(同市福島)、アクロナイネン(株)(同市西浜)、(株)栄光(名古屋市)がバイオカートの製作に協力した。試走には河西モータースの和田多博代表、アクロナイネンの谷口直也技術開発課係長が参加。燃料タンクにBDFを注入してエンジンを作動させ、ゆっくりと車が動き出すと、生徒たちから歓声が上がった。
車を操縦した2年の坂下将伸君(16)は「ゼロから自分たちで燃料を作るのは苦労したけど、実際に車が走って感動した。みんなが楽しめて環境にもやさしい燃料をもっと普及させたい」と述べ、西垣内教諭は「技術者は研究だけでなく、周りと連携した実践が重要」と企業と生徒が連携できたことを喜んだ。
同校はこれを情報発信の第一歩に、地域の廃油回収などに広げ、将来的には同校機械科と共同で学校独自のカートを製作、レースなどにも出場することで環境啓発につなげたいとしている。
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