イラストならおまかせ!　県警本部の赤下部さん

忘れかけていた趣味を仕事に生かす―。 県警本部や水上安全協会、 県交通安全協会、 県防犯協議会連合会などのポスターで、 生き生きとしたイラストに目をひかれたことはないだろうか。 描いているのは、 県警本部運転免許課、 警察職員の赤下部左樹子さん (29)。 最近では、 県警本部交通企画課などが作った交通安全わかやまソング 「守らなあかん 交通ルール」 のCDジャケットのイラストを担当するなど活躍している。

赤下部さんは平成14年4月に警察職員を拝命。 3年後、 当時務めていた串本署の上司に、 警察庁主催で全国の警察職員対象の 「広報用写真・イラストコンクール」 に出品することを勧められた。

小学生のころから絵を描くのが好きで、 高校生のころにはイラストや小説を書く文芸部に所属。 趣味で、 雑誌などに投稿することもあったという。 「漫画のキャラクターとかをまねごとで描いてたという感じですね」。 警察職員となってからは、 初めての一人暮らしに慣れるのに精一杯で、 イラストを描くことから遠ざかっていったという。 「机を持っていかなかったのもあるし、 仕事が忙しくて余裕がなかったかな」 と振り返る。

同コンクールに出すために、 何年かぶりにイラストに挑戦。 テーマが絞られていなかったこともあり、 「広報用だし、 警察官の絵を描きました」。 コンクールでは、 4等にあたる努力賞に入賞。 県警内で イラストが得意な赤下部さん として、 一躍有名になった。

その後、 県警内や関係機関から、 各種犯罪防止のポスターのイラストを依頼されるように。 初めて自分が描いた動物のイラストに 「飲酒運転やめるんじゃー」 「シートベルトするんじゃー」 などゴシック体のセリフが入ったのを見た時、 「立派にしてもらってうれしかった」 とにっこり。 イラストを描く時は資料などを参考にせず、 自分の中でイメージを膨らませることが多いといい、 依頼主から ダメ出し をされることもあるが、 「イラストのみのポスターって、 意外に少ないから注目してもらいやすい。 親しみの持てる柔らかい雰囲気を心がけて描いてます」 という。

自分のイラストがポスターが張り出されていたり、 CDジャケットになったのを見ると 「一生懸命描いたものだけど、 やっぱり恥ずかしいかな...」 と苦笑い。

高校卒業後、 イラストを真剣に学ぼうと、 一度はデザイン関係の専門学校に入ろうとしていたが断念したという赤下部さん。 警察職員という立場で、 その才能はゆっくりと花開いている。