2009年04月22日

01.事件・事故

「ごめんなさいの言葉がほしい」

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死刑確定の報道を見守る事件の被害者の女性

平成10年7月に園部で起きた毒物カレー事件で、殺人罪などに問われた林真須美被告(47)に、最高裁第3小法廷(那須弘平裁判長)は21日、上告を棄却する判決を言い渡した。これにより死刑とした1、2審判決が確定する。小法廷は「無差別の大量殺人で、落ち度のない4人の命を奪いながら反省の態度はまったく示しておらず、残忍で卑劣な犯行」と指摘。林被告は、弁護士を通じて「真犯人は別にいます。無実の私が国家の誤った裁判で命を奪われることが悔しくてなりません。えん罪を晴らすためにも渾身の努力をしていきたい」とコメントを出している。

午後3時、事件があった園部地区では、遺族や被害者らがかたずをのんでテレビのニュースで判決を見守った。
近所の飲食店の対立が原因で嫌がらせのために食中毒を起こそうとしたものだとし、林被告から真犯人として名指しされていた女性(43)は、死刑確定の速報が入っても、表情一つ変えず画面を見つめていた。「死刑という言葉の重みはわかるけど、体のこと(後遺症)も被害者になったことも変わらない」と話し出し、「当の本人が反省しなくちゃ意味がない。改めて自分が被害者だと思い知らされる。知ってる人も死んでるし」とうっすらと涙を浮かべた。「なんでこんなことになったかが知りたい。ごめんなさいという言葉がほしい」。
林被告の死刑が確定した後の園部地区は、報道陣の喧騒と相反するようにひっそりと静まりかえっていた。事件当日、カレーを食べたという近くの男性(62)は「カレーを食べた後の吐き気は今でも覚えている。死刑は当然。はっきりと言葉にして謝罪してほしかった」。また、お好み焼きつかさのオーナー賀川司さん(67)は「死刑が確定してよかった。今度の慰霊祭で報告できる」と言葉をかみしめて話していた。
死刑判決が確定しても、林被告は一貫してえん罪主張を続けている。その真意が明らかになる日まで、被害者の心の傷が癒えることはない。



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