2008年08月12日

2008 04.文化・くらし

紀三井寺 前田副住職に聞く[1]

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「肉体は滅んでも魂は生き続けるのです」と前田副住職

8月は終戦の月であり、関西では13日から15日までお盆を迎えます。人はその一生をいつどのようにして終えるのかは誰も知ることはできません。お盆とは何か、命とは何か、どのように生きればいいのかなどを和歌山市の紀三井寺の前田泰道副住職にお話を伺いました。2週に分けてご紹介いたします。

お盆とはどういう意味ですか
前田 正式には盂蘭盆会(うらぼんえ)と言ってウランバナというインドの言葉を漢字にあてたもので、「逆さ吊り」という意味です。人間の一番苦しい状態のことです。お盆の行事はお釈迦様の弟子の一人・目連尊者が※餓鬼道に落ちた母親を救う話しに由来しています。

その由来とは?
前田 過去世や亡くなった人を見通す神通力があった目連尊者が、亡き母の姿を探すと、餓鬼道に堕ちて逆さ吊りの苦しみにあっているのを見つけ、どうすれば救えるかをお釈迦様に尋ねると、お釈迦様は雨季(現在の5~8月)の修行が終わった徳の高い僧侶を招き、いくつもの大きなお盆に載せた供物を捧げたり、寝床を用意したりすると、その功徳によって母親を救うことができるといわれました。目連はその通りにしたところ、母親が救われたということです。それ以来、供養することの功徳によって恩ある父母をはじめとする親族、先祖が苦しみから救われるということで、この時期に始まったのがお盆です。空になったお盆をもって喜んで踊ったのが盆踊りの始まりとも言われました。

徳の高いお坊さんの功徳はすごいものですね。
前田 7代さかのぼって先祖を救う力があるといわれています。

目連の母親が餓鬼道に堕ちた理由は?
前田 母親は生前、穀物商をしていたようですが、優秀な目連に教育を施す為に、無理をして計り売りでごまかしたこともあるといわれています。親はかわいい子のために罪を犯すのです。

餓鬼道にいるということは、人間は死んだらすべてがなくなるのではなく、生きていた時の行いなどによってその後赴く世界があるということですね
前田 インドでは六道(天道・人間道・修羅道・畜生道・餓鬼道・地獄道)輪廻という思想があり、生きていた時の行いで六道のどこかに生まれ変わるというものです。

死んだら終わりという人もいるようですが。
前田 「千の風になって」という歌の歌詞の様に、肉体は滅んで天空や大地に融けても魂は生き続けるのです。苦しくとも善く生きた人は、魂を浄め高めた功徳によって善き世界に生まれ変わるのです。





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