2008年09月19日

2008 00.社会

旧県会議事堂の移築候補地決まる

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県指定文化財の旧県会議事堂

明治の文豪夏目漱石が講演を行ったことでも知られる県指定文化財、 旧県会議事堂 (岩出市の根来寺境内 「一乗閣」) の移築候補地として県教委は17日、 同寺大駐車場西隣の参道に隣接する同寺所有の田地に決まったことを明らかにした。 今年度中にボーリング調査などを実施し、 地質に問題がなければ来年度から移築事業に着手する方針。 移築完成までの総事業費は約11億円と見込んでいる。

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県議会本会議で川口文章議員 (清新ク) の一般質問に山口裕市県教育長が答えた。 旧県会議事堂は明治30年 (1897) に和歌山市一番丁に建設された。 和風木造2階建てで、 当時の官公庁舎は洋風が一般的だった中で、 和風は極めて珍しく貴重な歴史的建造物。 現存する旧県会議事堂では新潟県の県政記念館 (洋風) に次ぎ2番目に古い。
新たな移転候補地は現在地の南西約200メートル、 本殿への参道に沿った田地で、 広さは2200平方メートル。 根来寺と県、 岩出市で移築地の協議を重ねていたが、 山口教育長は 「根来寺から県が土地の提供を受け、 修復保存を図っていくことで協議が整った」 と述べた。 建物の所有権は解体修復前に県が同寺から寄付を受けるという。
県文化遺産課によると、 今年度中にボーリング調査と埋蔵文化調査をしたあと、 来年度から修復の基本設計、 解体、 22年度に実施設計に入り23年度に修復着工する予定。 完成予定は24年度予定。
旧県会議事堂は昭和13年に農協に買収され、 現在のJR和歌山駅前 (JAビル) に移転。 周辺の建物で唯一戦火を逃れた。 農協ビルの建て替え時、 引き取り手がなかった時に根来寺の好意で同寺境内に移転、 「一乗閣」 の名で宿坊や小中学校の林間学校などに利用されていた。
築後110年が経ち傷みが相当激しく、 10年前に県や岩出市などが中心になって移築修復のための募金活動を展開。 当初は駐車場南の空き地を移築予定地としたが、 大きな断層が見つかったため断念、 境内で新たな移築地を検討していた。
県文化遺産課によると、 保存修復費は募金の5000万円を活用するが、 移築完成まで約11億円かかるとしている。 山口教育長は 「議場部分を復元し、 観光部局とも連携を図り、 紀の川緑の歴史回廊事業のインフォメーション機能などを備えた中核施設として活用したい」 としている。





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