2008年09月19日

2008 00.社会/2008 05.紀の川・岩出・海南・紀美野

根来塗曙山会が漆の植栽地で下草刈り

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ウルシの木(左手前)に注意しながら作業する池ノ上さん(中央)ら

根来塗の発祥の地で産地の再興と人材育成に取り組む根来寺根来塗塗師池ノ上曙山さんとその門下生の曙山会ら一行40人は17日、岩出市根来の根来げんきの森が管理する山林でおととし3月に苗木50本を植えたウルシの植林地で下草刈りを行った。国産の高品質な漆が少なくなる中、池ノ上さんは素材にこだわった伝統工芸を守り続けており、原材料の確保と根来塗を学ぼうとする人たちの素材学習を目的にしている。

植林地は、管理棟から約500メートルほど山間を下りたところで広さ約10a。ウルシの木は、植栽から2年6カ月で人の背丈ほどに成長。中には2メートルを超えるものもあった。植栽からこれまでに10回近く下草刈り作業を行ったが、すでに生い茂った雑草で区別がつきにくいところもあった。
この日の作業には、池ノ上さんが一般を対象に講習している根来塗受講生らも参加。現場に到着した一行は、ウルシの木に注意しながら3時間近くかけてかまや草刈り機で慎重に雑草を刈り取った。
池ノ上さんは平成12年、総本山根来寺から根来塗塗師の認定を受け、豊臣秀吉の 「根来攻め」 により途絶えていた幻の漆器 「根来塗」 を約400年ぶりに復活、根来寺初代塗師として岩出市民俗資料館内の根来塗工房で活動。
根来塗が頑丈でいつまでも美しいのは、一般的な漆器は職人が扱いやすいヒノキを使っているのに対し根来塗は堅いケヤキを使用。さらに器の角や口の部分など各所の強度を高める工夫がされている。そしてもっとも重要な点を池ノ上さんは 「通常数日で仕上げる漆の下地を根来塗では3カ月かけてじっくり丁寧に仕上げます。だからこそ使うほどに鮮やかでキズさえも味になる」 という。
植栽したウルシからは、6年から8年で漆の原料となる樹液を採ることができる。これを精製して漆器の塗料にするが、樹液を採るのも手間のかかる作業で、今では漆の90%以上が中国産ともいわれてる。 「漆を作るのは大変な作業ですが、素材にこだわり、伝統の技術を守り続け、大量生産ではない、愛着をもって長年使っていただけるような根来塗を作り続けたい」 という。





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