2010年09月05日

05.紀の川・岩出・海南・紀美野

海南高科学部がツメレンゲの研究結果まとめる

和歌山県立海南高校科学部

ツメレンゲを調査した3人 (左から南川君、 市川君、 中谷君)

環境省のレッドデータブックで準絶滅危惧種に分類されている多肉植物 「ツメレンゲ」 を研究している県立海南高校科学部の学校周辺の分布調査で、 ツメレンゲは黒江地区を中心に古民家の屋根の上に多く生えていることなどが分かった。 本来の生育地は海岸近くの乾燥した岩石地だが、 同地区では古民家の瓦を固定する赤土から生えていることが多く、 何らかの人的要因で種子が赤土に混入された可能性も示された。

調査したのは2年で部長の市川研太君 (16)、 南川紘輝君 (同)、 1年の中谷崇人君 (15) の3人。 市川君は 「なぜ植物 (自然物) が屋根 (人工物) の上で生えているのが気になった」 と調査に乗り出した。

ツメレンゲが岩石地から屋根の上に生息地を移してきた経緯を考察するため、 5月から黒江、 日方、 名高、 船尾などの地域を歩き、 分布地点や個体数、 生育環境を調査。 グラフや分布図を作り、 分布図と明治時代の古地図を比較した。 本来の自生地である岩石地でも見られたが、 古民家の屋根の赤土から生えていることが多く、 道端やコンクリートでも見られた。 発見した数は3501株にのぼった。

また、 分布図と明治時代中期の市街地の地図を比較すると、 ツメレンゲの分布は昔の市街地とほぼ一致することが分かった。

屋根の上にツメレンゲが育つ理由として、 科学部は1本瓦の赤土に種子が混入していた2火事による延焼を防ぐために水を多く含む同植物を植えた3海岸近くの岩石地から種子自然散布した4園芸植物として栽培された種子から自然散布したの4つの仮説を立てた。 今後はツメレンゲを食草とするシジミチョウの一種で、 県の準絶滅危惧種に指定されるクロツバメシジミとの生態調査を行っていくという。 3人は 「将来的には、 町並み景観の保全を視野に入れて、 保全生物学的な研究を目指したい」 と話している。 同部は、8月に横浜市で開かれた全国スーパーサイエンスハイスクール (SSH) 校生徒研究発表会で、 この調査結果を発表し、 全国118校の中から18校が選ばれるポスター発表賞に県内のSSHとして初めて受賞した。 11日に中部大学で開かれる日本植物学会第74回大会にも参加し、 発表する。





この記事と関連がありそうな過去の記事

powered by weblio


05.紀の川・岩出・海南・紀美野 - 同カテゴリの記事






カテゴリー
社会
事件・事故
政治・経済
スポーツ
文化・くらし
紀の川・岩出・海南・紀美野

これまでの特集
月別アーカイブ
株式会社 和歌山新報社
cypress.gif