2010年11月24日

00.社会

近畿優良警察職員に川﨑警部補

犯罪被害者の手記を持つ川﨑さん

犯罪被害者の手記を持つ川﨑さん

「被害者も加害者も出さない社会へ」。今年度近畿管区内優秀警察職員に、県警本部警務部警察相談課、犯罪被害者支援係長、川﨑力夫警部補(54)が選ばれた。26日、大阪市中央区のプリムローズ大阪で表彰される。ことしの受賞者は近畿管区内で13人、県警本部では37人目の受賞者となる。

川﨑さんは昭和50年4月、警察官となり、平成15年、捜査二課の企画指導として6年目を迎えた時、長女(当時20歳)を交通事故で亡くした。 「娘とゆっくり話す時間が持てなかった。喪失感でいっぱいだった」 と目を伏せる。長女は原付、相手の女性は車で、女性は業務上過失致死の罪に問われ、川﨑さんも、川﨑さんの妻も裁判に出廷した。異動の時期と重なったこともあり、当時の上司に現在の犯罪被害者支援係を勧められた。「同じ立場なら、気持ちを分かってあげられるでのは」 という上司のはからいだった。「恥ずかしながら、被害者支援について何も知らなかった。一からのスタートだった」。

警察と被害者の間で苦しむこともあった。「被害者は捜査についてすべてを知りたい。しかし捜査の進展によっては、答えられないこともある。被害者の気持ちを考えると辛いし、被害者の理解を得るのは難しい」 。それでも、なんとか被害者の思いをくみ取ろうという気持ちを持ち続けてきた。

犯罪が発生すれば、加害者も出る。 「犯罪に遭った人からすれば、人生が変わるほどのこと。一方で、加害者の家族もこれまでの生活はできない」 。現在、高校生を対象に犯罪に遭った遺族が講演する 命の授業 を強化している。若い世代へ、命の大切さを改めて感じてもらえるような働き掛けだ。

「被害者の支援は警察本来の業務といわれるが、本当にその通り。自分の経験からも大切な業務と改めて思わされた」 。表彰式は、どんな場面も二人三脚で歩んできた妻(54)と共に出席する。





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