2011年01月06日

05.紀の川・岩出・海南・紀美野

89歳で作家デビュー

「この本でもう一度人生を見つめ直して」 と前田さん

「この本でもう一度人生を見つめ直して」 と前田さん

橋本市高野口町名倉の前田酉一さん(89)が自身の太平洋戦争の経験を書き、 10年前に自費出版した回顧録「弱兵インド洋作戦」が、 偶然にも出版社の目に止まり、 (株)光人社(東京)から文庫本作家としてデビューした。 タイトルは「絶海の島ニコバル諸島戦記」 (定価720円)。 厳しい初年兵教育の訓練に耐えたことや、 海外の孤島に出兵し生活した経験を描いている。全251ページ。 全国で販売中。 県内では宮井平安堂などで購入できる。

本を書いたきっかけは、 まもなく戦後50年を迎えようとしていた平成6年、 子どもや孫に戦争の経験を残し伝えたいと思ったこと。 当時の状況をノートに走り書きした。 当時はペンやノートの支給がなかったため、 少しの写真と記憶だけが頼りだった。 完成した原稿は出版関係の知人に製本を依頼した。

内容は今から69年前の昭和17年、 前田さん (当時21歳) が和歌山中部第24部隊に入隊することから始まる。 翌年、 インドの東にあるニコバル諸島 (当時日本軍が占領) へ出兵。 敗戦後は約半年間、 連合国側の捕虜として収容所生活を送り、 帰還するまでの当時の心情を忠実に書いている。

店頭販売が始まり、前田さんは「全国の人に読んでもらえることに驚いています。 現代は豊か過ぎて自分を見失っている部分がある。 厳しい状況の中での生き様や、 原住民との生活から学んだことなど、 基本的な生き方をもう一度見つめ直してもらえたら」と話している。





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