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「この本でもう一度人生を見つめ直して」 と前田さん |
橋本市高野口町名倉の前田酉一さん(89)が自身の太平洋戦争の経験を書き、 10年前に自費出版した回顧録「弱兵インド洋作戦」が、 偶然にも出版社の目に止まり、 (株)光人社(東京)から文庫本作家としてデビューした。 タイトルは「絶海の島ニコバル諸島戦記」 (定価720円)。 厳しい初年兵教育の訓練に耐えたことや、 海外の孤島に出兵し生活した経験を描いている。全251ページ。 全国で販売中。 県内では宮井平安堂などで購入できる。
本を書いたきっかけは、 まもなく戦後50年を迎えようとしていた平成6年、 子どもや孫に戦争の経験を残し伝えたいと思ったこと。 当時の状況をノートに走り書きした。 当時はペンやノートの支給がなかったため、 少しの写真と記憶だけが頼りだった。 完成した原稿は出版関係の知人に製本を依頼した。
内容は今から69年前の昭和17年、 前田さん (当時21歳) が和歌山中部第24部隊に入隊することから始まる。 翌年、 インドの東にあるニコバル諸島 (当時日本軍が占領) へ出兵。 敗戦後は約半年間、 連合国側の捕虜として収容所生活を送り、 帰還するまでの当時の心情を忠実に書いている。
店頭販売が始まり、前田さんは「全国の人に読んでもらえることに驚いています。 現代は豊か過ぎて自分を見失っている部分がある。 厳しい状況の中での生き様や、 原住民との生活から学んだことなど、 基本的な生き方をもう一度見つめ直してもらえたら」と話している。
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05.紀の川・岩出・海南・紀美野 - 同カテゴリの記事
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