2011年07月02日

05.紀の川・岩出・海南・紀美野

AEDで人命救う 那賀消防管内で初

AEDで人命救う 那賀消防管内で初

表彰される松浦さん左と渡慶次さん

心肺停止した男性 (50) をAED (自動体外式除細動器) と心臓マッサージで救ったとして、 那賀消防組合消防本部 (田中照巳消防長) は、 紀の川市と有田市の男性2人に感謝状を贈った。 AEDを使用し、 救命に成功した例は同署管内では初めて。 男性は12日間入院したが後遺症もなく、 現在は無事退院している。 また同消防本部が人命救助で一般人を表彰したのは4年ぶり。

表彰されたのは紀の川市野上の松浦智樹さん(39)=大揚興業(株)勤務=と、 有田市箕島の渡慶次力(とけし・ちから)さん(35)=綜合警備保障(株)和歌山市支社勤務=。 田中消防長は2人に感謝状を手渡し、「知識はあっても実践することは勇気がいること。 よく勇敢に行動してくれました」 とたたえた。 松浦さんは 「迅速な措置が急病人のその後の人生に関わることを証明できました」、渡慶次さんは 「この感謝状は2人だけではなく、 救急に連絡するなど分担して対応した全員へのものです」 とそれぞれ喜んだ。

受講中突然意識不明に
心肺停止したのは、 5月15日に岩出市金池の総合保健福祉センターで開かれた警備員資格の研修会 (約60人参加) に参加していた男性。 松浦さんと渡慶次さんは講習会の講師を務めていた。 男性が倒れたのは搬送訓練の時。 病人役を担ぎ、 立ち上がろうとした際に、 意識を失い後ろに倒れた。 男性の異常な呼吸を見た松浦さんがすぐに上着を脱がして心臓マッサージ。 その後すぐに、 渡慶次さんが講習の際に常備しているAEDで電気ショックを与えた。 この間、 2分ほどの出来事だった。 男性の心臓は通常の動きに戻り意識も回復した。 男性はその後、 通報で駆け付けた救急隊員により病院に搬送され、 一命を取り留めた。

4分放置で救命率半減
消防によると通常、心停止などの際には、4分間措置を行わなければ救命率は50%まで下がる。また、1分経過するごとに社会復帰率は9%ずつ下がるという。今回は心肺停止状態でも心臓マッサージで脳に血液を送り、脳細胞の死を遅らせ、迅速にAEDで電気ショックを与えたため、後遺症を残すことなく蘇生できた。

AEDは平成16年から一般市民でも使えるようになったが、これまで蘇生に成功した例は全国的に少ない。AEDは、体に張ったパッドで自動的に心臓の状態を判断。心臓が痙攣(けいれん)している心室細動の場合のみ電気ショック(除細動)を与え、心停止の場合は動作しない。平成21年の東京マラソンでランニング中に心筋梗塞で倒れ、AEDの救急措置で一命を取り留めたタレントの松村邦洋さんは、救命措置を受けるまで1分足らずだったという。

松浦さんは3年前に、 所属する消防団の集団講習でAEDの使い方を学んでいたといい、「講習での知識が役に立ちました。今後も救命技術の習得に努めます」と話していた。





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