2008年07月05日

2008 04.文化・くらし

市民会館で映画「靖国」上映なるか 実行委の許可願いを会場が保留

上映を自粛する映画館が全国で相次ぐなど物議を醸しているドキュメンタリー映画「靖国」の和歌山上映を巡り、主催の和歌山実行委員会と、会場となる和歌山市民会館との間で、温度差が生じている。実行委は2日、8月24日の上映許可を会館側に申し出たが、会館側は3日現在で「受理はしたが許可はしていない」と保留を強調。しかし、実行委側は、すでに各方面に動員をかけるなど準備に動き出している段階で、「会館側からは何も連絡はない」としている。

「靖国」 は、 在日19年の中国人監督が撮ったドキュメンタリー映画で、 その表現を巡って論争が起きているだけでなく、一部の国会議員が 「内容が反日的」 などを理由に文化庁を通して特別試写を要求したこと、また、 文化庁所管の独立行政法人から助成金を受けていることなどが問題視されている。現在、 全国の映画館で順次公開中だが、 自粛している館も相次いだ。 市民会館のような公共のホールでは、これまで高知県・四万十文化センターで上映されただけだという。 配給元の映画『靖国』 上映委員会は 「高知では混乱なく上映を終えた。 今後も、 幾つか公共ホールでの上映予定はあるが、注意深く上映を進めたい」 としている。
和歌山実行委員会は約1カ月前から準備に取り組み、 会館側に上映許可を申し出。いったんは受理されたものの、 会館側が許可していないことについて市文化振興課は「当日は市民会館大ホールで人気歌手のコンサートもあり、 人が多く集まる」と、 映画の内容が物議を醸しているだけに、 難色を示している様子で許可に踏み切れないようだ。
これに対し実行委側は 「正式な判断を待ちたい」 とコメント。
わかやま市民映画祭実行委員長の笠原悌二朗さん (64) は 「靖国を正面から見つめた記録映画はこれまでなかった。映像作品として観るものが靖国をどう評価するかに委ねた作品」 とした上で、「和歌山でもぜひ公開すべきだ」 としている。 一方、 映画が好きだという30代の女性は「観たい映画の1つですが、 表現の自由より市民の安全を第一に考えなければならない行政の立場も分かります。難しい問題ですね」と市側の対応に理解を示した。





この記事と関連がありそうな過去の記事

powered by weblio






カテゴリー
社会
事件・事故
政治・経済
スポーツ
文化・くらし
紀の川・岩出・海南・紀美野

これまでの特集
月別アーカイブ
株式会社 和歌山新報社
cypress.gif