2008年12月27日

2008 00.社会/2008 05.紀の川・岩出・海南・紀美野

学術誌サイエンスが粉川出身の山田さんを表彰

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山田さん

紀の川市粉河出身で、アメリカ合衆国シカゴ市のイリノイ大学特別研究員の山田かおりさん(32)が、世界で最も権威ある学術雑誌の一つ 「サイエンス」 を発刊しているアメリカ科学振興協会から、分子生物分学分野で特に優れた業績を挙げた若手研究者として世界で5人のうちの1人に選ばれ表彰された。

山田(旧姓堀口)さんは、県立粉河高校理数科卒業。現役で東京大学理科I類入学後、同修士課程、博士課程に進みボストン市タフツ大学、シカゴ市イリノイ大学留学を経て2004年東京大学博士課程を修了し、2007年博士号の学位を取得した。
今回の表彰は、この論文に関する「移動するPIP3(リン脂質)が細胞の極性を制御する」と題したサイエンスに投稿されたエッセーに対する「GE & Science Prize for YoungLife Scientists」という賞。学位取得直後の優秀な若手研究家を支援するために1995年に創設された。
山田さんの研究内容は、神経細胞の働きには情報を受け取り、他の細胞に送り出すという方向性が必要であり、その方向を決定する分子はこれまでその場で作られていると思われていたが、輸送により蓄積するということを初めて示した。この発見は神経再新生などの治療に役立つと考えられ、アルツハイマー病やパーキンソン病の病気発生のメカニズムに応用できればと期待が寄せられている。
実家では、父慧さんと母恵子さんが「知らせを聞いて驚いています。研究内容の詳しいことは分かりませんが、そういうことを思いつき研究し証明したことはすごいと思います」とアメリカからのメールでの突然の知らせに、当初は何のことか分からず半信半疑だったという。かおりさんは、2人姉妹の2番目。現在はイリノイ大学教員の夫と1歳の子の母。両親によると、高校時代までは優しい普通の女の子。小学1年と2年の統計コンクールで県知事表彰を受けたのが唯一の表彰。高2の時に東大を目指そうと勉強を始め、特に英語はいつもリスニングをしていたという。マンガを書くことと菓子作りが趣味という。
かおりさんは「この賞を受賞できたことは若手研究者にとって大変な誉れであり、とてもうれしく思います。この賞は若手を励ましさらなる活躍を奨励するものです」とコメント。「ここがゴールではなくむしろこれからの生き方を期待されているということに身が引き締まる思いが致します。指導して下さった先生方、とりわけChishti教授と花田先生に感謝いたします。また、私を生んでくれた両親、支えてくれた夫に感謝の気持ちでいっぱいです。研究者にもっとも必要な科学への興味、知的探求心を養ってくれたのは、私をのびのびと育ててくれた両親と美しい紀の川市の自然でした。ありがとうとざいます」と話している。





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