2010年03月04日

02.政治・経済

低利用魚を「骨なし」で、和歌山市の水産加工会社

低利用魚を活用した骨なし干物魚の商品化事業

タチウオを「骨なし魚」に加工する社員(川常物産で)

収益性が低いなどのため、漁業者が市場に出さずに廃棄していた小型のタチウオやアジなどの低利用魚を、 「骨なし魚」 に加工し有効活用するなど、 市場ニーズに対応する新たな加工商品を開発・販売する取り組みが和歌山市の水産加工会社で始まっている。 新たな事業化は地元漁協ともタイアップ、 漁業者の収入拡大にもつながるとして注目されている。

新たな事業化を進めているのは、 市内榎原の(株)川常物産 (金谷静夫社長)。 同社は水産庁の平成21年度助成事業 「ビジネス連携支援事業」 に、 「低利用魚を活用した骨なし干物魚の商品化事業」 を提案応募し昨年12月、 県内で唯一採択されたという。

低利用魚の加工試作品はタチウオ、 アジなどを骨なし加工し 「干物」 をはじめ 「煮物用」 「フライ」 などにし、 子どもからお年寄りまで安心して食べやすくなっている。 同社の金谷博司社長代理は 「国産品・近海物だからと言って値段が高ければ消費されない。 自社のコストダウンへの努力はもちろん、 漁協とタッグを組んで外国加工品にも引けを取らない価格で消費者へ提供できるよう頑張っていきたい」 と説明。

その上で、 同社の製品について 「 国内加工 という広い表現ではなく、 地産品を地元で加工しているという意味で 黒潮加工 という表現で安心と安全を提供していきたい」 としている。

すでに紀の川市で学校給食を提供している 「ことぶき食販(株)」 や老人・介護施設給食会社 「(有)ミストラル」 「(株)紀和味善」 なども使用を決定しており、 地元食品会社はじめ奈良県、 大阪府の業者からも引き合いが来ている。 3月からは楽天でもネット販売、 一般家庭でも購入できるようになっている。

「骨なし魚」 以外にも、 地域の料理店向けに 「刺身用に三枚下ろし、 中骨除去、 瞬間冷凍真空パック」 食材や揚げ物用など幅広い利用方法を関係者と共同で研究開発。 これにより飲食店の悩みである売れ残りのムダを省き、 三枚下ろしなど調理人の作業の手間を省けるようになる。

同事業をコーディネートし支援している(株)アルファックスの木村浩造代表取締役は 「1企業だけの取り組みでなく、 漁業者や漁協と共同して進める新産業創造事業で地域の活性化に役立つ」 と説明。 同社は現在、 田野浦漁協と協働で事業モデルの開発を進めているが、 「和歌山の全漁協が協力して進めれば、 県内漁業全体の活性化にもつながる」 としている。

漁業者が捕った魚をそのまま市場に出すより、 漁協現地で内臓除去などの一次加工を施した中間商品として販売すれば、 付加価値がさらに向上し漁業者の収益拡大につながることから、 今後の検討課題となっているという。





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