2010年06月12日

00.社会

「同志」を応援、海洋環境船が打瀬舟にエール

打瀬舟 (うたせふね) 「漁善丸」

併走する「はりま」左と打瀬舟「漁善丸」

「東京湾に打瀬舟を復活させる協議会」 (横浜市、 横浜康継理事長) の打瀬舟 (うたせふね) 「漁善丸」 が2日、 母港にしてきた熊本県芦北町の計石港を出発し東京湾へ向けて約1500キロを2週間かけて航行している。 11日には、 紀伊水道沖を通過し、 国土交通省近畿地方整備局和歌山港湾事務所 (長池伸治所長) 所有の海洋環境船 「はりま」 が漁善丸を表敬訪問、 「お互いに美しい海を取り戻そう」 とエールを送った。

同協議会は、 かつて全国各地で行われていた風力で網を引く、 打瀬舟網漁を東京湾に復活させ、 湾の自然再生のシンボルとして伝統漁文化を残すきっかけにしようとプロジェクトを進めている。 和歌山港湾事務所は、この打瀬舟と、 海に浮遊するごみや油を回収する「はりま」の豊かな海を取り戻すという趣旨が同じであることから応援することにした。

兵庫県の沼島沖4マイルで対面した2艇の乗組員らは、 各艇の説明を受けるなどして交流を深めた。 「はりま」 からの差し入れ、 和歌山名産の梅干しを受け取った 「漁善丸」 の乗組員は 「普段の昼食はインスタントラーメンばかりなので、 とてもありがたいです」 と笑顔。 約1時間の交流後、 2艇はしばし併走し 「はりま」 が船艇上の電光掲示板に 「御安航を祈ります」 と掲示し、 手を振って別れた。

同事務所の藤原敏晴さん (51) は 「形は違うが同じ目標を持って活動しているのですごく共感できました。 今後も応援を続けていきたい」、 「漁善丸」 の金萬男船長 (50) は 「ここまで歓迎されたのは初めてです。 感謝します」 と話していた。

打瀬舟 水深1メートルの浅瀬でも航行でき、 帆で進む木造船。 東京湾では昭和40年ごろまで帆を上げ潮風を受けて海上を滑るように網を引く 「藻エビ漁」 として打瀬舟を使った漁が盛んに行われていたが、 高度経済成長とともに干潟の埋め立てなどにより藻場が消滅し同漁は衰退。 現在国内で漁業として成り立っているのは、 北海道野付湾のシマエビ漁のみ。





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