2011年07月07日

00.社会

熱心な防災活動に注目 片男波地区

片男波地区の防災会

滋賀県草津市の民生委員らに地元の防災対策を説明する玉置さん

東日本大震災発生時、日ごろの熱心な防災の取り組みを生かし、地区内の15%の住民が避難した片男波地区の防災会(植田龍彦会長)へ、県外の団体から視察が相次いでいる。同会の防災部長、玉置成夫さん(74)は「防災活動は楽しくないと長続きしない。日々、意識を持ってもらえるよう働き掛けることが大切」と話している。

6月、 兵庫県香美町の自治会、 滋賀県草津市の民生委員が同会の防災の取り組みを参考にしようと訪れた。 玉置部長はパワーポイントを作成し、 片男波地区の特性、 独自で考案した取り組みについて説明。 参加者からは積極的な質問の手が上がった。

震災が発生した3月11日、 和歌山市内で避難対象となったのは1万5000世帯、 約4万人で、 実際に避難したのはわずか882人。 片男波地区はそのうち160人と約2割を占め、 防災会が車いすなどを使って災害弱者3人を避難場所まで避難させた。 同地区は高齢者率の高さもあり、防災対策に力を入れている。10年ほど前から地区の運動会で毛布を使ったタンカリレー、高齢者など災害弱者を車いすに乗せて走る競争などを取り入れ、 次世代を担う子どもも積極的に参加。 楽しみながら防災に親しんできた。

平成17年2月に自治会役員などで防災会を発足。「飽きズ、忘れズ、疲れズ」をモットーに、 独自の防災対策を考えてきた。 19年3月には、災害時に災害弱者の救助をサポートする 「協力者」と、高齢者や身体障害者など避難が困難な「要援護者」を把握する「災害時助け合い登録書」制度をスタート。 毎年全戸に配布して登録状況を見直し、 昨年度は全404戸のうち約半数が登録した。 また同震災で、 同地区で高齢者の介護があるために逃げるのを諦めた家庭があったことから、 登録書の要援護者の記載部分に、 「家族に要介護認定者がいる」 などの項目を増やした。今後、 要援護者の対象者を訪問し、 深刻な災害弱者を把握し、 了承を得て付近の住民に住居地などを知らせる。 玉置さんは「細く長く、地域とのつながりを築き、信頼があるから個人情報なども提供してもらえる。 防災対策は終わりなき闘いなので、今後も実状に合わせてやっていきたい」と話していた。





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