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友ケ島の第3砲台跡にあるレンガ造りの倉庫跡 |
明治時代に築かれたレンガ造りの砲台跡など貴重な遺跡群が残る友ケ島について、所有者の和歌山市が国史跡指定(戦跡)に向けて取り組んでいることが分かった。具体的な史跡の範囲などはまだ確定していない模様だが、4島でなる友ケ島のうち当面は砲台跡のある沖ノ島と虎島の2島の史跡指定化を目指す。指定されれば近代の歴史的遺産では県内初で、和歌山市の観光振興にとってもメリットは大きいと期待されている。
友ケ島は明治20年代に、外国艦船の侵入を防ぐ目的で沖ノ島に5カ所、虎島に2カ所砲台を建造し、軍用道路を設けて要塞化。第二次世界大戦までは要塞地帯として一般人の立ち入りは禁止されていた。
終戦時に米軍によって破壊された第2砲台跡以外は軍事施設跡は比較的良好な状態で残存。特に第3砲台跡にあるレンガ造りの倉庫跡は当時の最先端の技術の粋を結集した貴重な文化財で、映画などのロケに使用されたり、観光の人気スポットともなっている。
近代の要塞跡では、山口県下関市が世界遺産候補の1つ「九州・山口の近代化産業遺産群」の構成資産にもなっている幕末期の「前田砲台跡」を中心に、平成22年度中の国史跡指定を目指し取り組んでいる。
和歌山市では史跡指定に向けて県と協議を開始。市文化振興課は「史跡の範囲などまだ具体的なことは決まっていない」と申請内容などは明らかにしていないが、県によると、今春には文化庁の現地調査が入る予定で、ことし12月の文化審議会の答申を目指したい考え。
市観光振興課は「国史跡となれば、友ケ島がこれまで以上に着目され、市の観光振興にとってもメリットは大きい」としている。
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