伝統の下駄市にぎわう 海南市の黒江で
和歌山県海南市で約150年続く夏の風物詩「下駄市」が14日、黒江地区の川端通りで開かれた。漆器職人の町の風情が残る通りには飲食などの屋台、下駄店などがずらりと並び、約3万人の帰省客らで大にぎわいとなった。
江戸時代、黒江・船尾地区で盛んだった漆器作りの職人が「藪入り」と呼ばれた盆休みを迎えるにあたり、雇い主が新しい下駄を履かせて故郷に帰らせる風習が広まり、その需要に応じて出店販売が盛んになったことが始まり。
午後6時ごろから浴衣を着た女性を中心に増え始めた人出は、和歌山マリーナシティの花火が上がる8時ごろには最高潮に。人で埋め尽くされた通りで、来場者は思い思いに食品や飲み物を買い求めては歩いて楽しんだ。
NPO法人黒江女性会が運営する下駄の販売コーナーでは、和歌山市内の夫婦らが家族への土産に購入し、記念の焼印のサービスに笑顔だった。
実行委員会の松下整諫(よしただ)会長(79)は「元々分業制で町全体でものづくりをしていたこともあり、約100人のスタッフが一つになって祭りを盛り上げている。安全に運営できているのもご先祖様のおかげだと感謝している」と話していた。
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