バイパス工事で最後に 川永団地の桜まつり
和歌山県和歌山市島の県営川永団地で1日、桜の伐採に伴い最後の「桜まつり」が開かれ、住民らが団地内の桜並木の下で花見とよさこい踊りに盛り上がり、桜との別れを惜しんだ。
約100本の桜からなる並木道は団地ができた少し後の1970年ごろ、同地区の自治会ができたのと同じ頃に植えられ、住民の手で大事に育てられてきた。しかし、同市の磯の浦から里をつなぐバイパス道路「西脇山口線」整備のため伐採されることとなった。
整備後は桜を伐採して水路を地下化し、25㍍の4車線道路が通る予定になっている。住民らは桜の移植も検討したが、100本の木を植え替える場所や予算の見通しが立たず、断念した。
桜が並ぶ水路沿いには机と椅子が並び、周辺住民らは弁当を広げて満開の桜の下でおしゃべりや花見酒を楽しんだ。
また、よさこいチームの「夢天翔」も参加し、桜吹雪の舞う中で華やかに踊った。周囲で見ていた住民らもメンバーに手を引かれて踊り、一緒に盛り上がった。
桜まつりを開催してきた勤住協自治会の中谷正次会長(75)は「自分が入居したときから、地域の子どもの成長とともにあった桜がなくなってしまうのは寂しい。成人して、この団地を出て行った人にとっても、ふるさとをなくしたような気持ちになっているのでは」と桜への思いを語った。
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