風呂敷で摘果作業を軽減 下津で取り組み

地域特産品ブランド「蔵出しみかん」の産地で、ミカン栽培の盛んな和歌山県海南市下津町では、収穫管理に必要な摘果時期を迎えている。遮光と高温で効率よく実の生理落果を促す効果を期待し、シートをミカンの木に掛ける方法が採られている畑では、山の斜面にユニークな景観が広がっている。

摘果は翌年につける実の数を確保するためや、市場から要望される小さい果実を作るためなどに不可欠で、木の上部の摘果が効果的とされている。しかし、約1カ月にわたり続けられる摘果作業は農家の身体的負担が大きいことが、これまでの課題となっていた。

摘果にシートを利用することになったのは2011年の気象がきっかけ。生理落果の起こる5月末に曇天、6月下旬に晴天が続き、日射量の不足と高温環境が生まれ、落果量が増えた。この点に着目した同町のJAながみねしもつ営農生活センターの坂田寛樹さん(41)が、3年をかけて試験や研究を重ねた。

研究の結果、生理落果を促すにはシート内の温度上昇は40度までで、若干の光が差し込むのが良いと分かり、数種の資材の中でも「ホワイトアグリシートR」という防草シートが適切と分かった。坂田さんはシートを〝風呂敷〟と呼び、農家に利用を呼び掛けている。

取り組んでいる農家の沼田義巳さん(73)は「〝風呂敷〟を使った摘果は、毎年一定量の収穫を確保するための方法の一つです。坂田さんは作業の軽減をいつも考えてくれる〝名物指導員〟です」と強調。坂田さんは「農家の高齢化が進む中、暑い夏は特に体を休めてほしいです」と話していた。

摘果作業は7月上旬まで続けられる。

ミカンの木に風呂敷を掛け生理落果を促す

ミカンの木に風呂敷を掛け生理落果を促す

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