2010年04月01日

04.文化・くらし

「独音楽10年の旅路」 ピアニスト杉谷昭子さん

ピアニスト杉谷昭子さん

「本当にいいものをつくりたい」と杉谷さん(緑風舎でスタインウェイハンブルク製フルコンと)

一昨年、 演奏活動40周年を迎えたピアニスト杉谷昭子さんが、 「ドイツ音楽10年の旅路」 をスタートさせる。 日独を拠点に国際的に活躍してきた杉谷さんにとって、 ドイツ音楽は原点。 「ドイツ音楽の体系をたぐり、 毎年プログラムを変え10年計画で取り組みます。 腰を据え、 今までできなかったことをやってみたい」 と目を輝かせている。

和歌山市生まれの杉谷さんは桐蔭高校、 東京芸術大学を卒業後、 「ブラームスを弾いていると、 私はこのために生きていると感じた」 とドイツに留学し、 数々のコンクールで優 (入) 賞。 その中で弾いたブラームスのピアノ協奏曲第1番が認められ、 ヨーロッパでデビューした。

以来、 コンサート、 審査員活動のほか、 ブラームス・ピアノ独奏曲全集とベートーベン・ピアノ協奏曲全集 (ベルリン交響楽団と) を女流として世界初リリース。 ベートーベン・ピアノソナタ全集 (全32曲) も出している。

「10年の旅路」 の第1回、 そのブラームスとベートーベンとバッハ。 4、 5月に全国6カ所で開き、 和歌山では、 先日スタインウェイのピアノ開きを行った緑風舎(同市野崎)で4月17日に催す。

「ピアノは人の声も、 バイオリンもフルートも、 オーケストラ全体の音も出せるすごい楽器。 和音感がたまらない魅力」 といい、 その音色の美しさと音楽性、 個性を何よりも大切にしてきた杉谷さんにとって、 実はことしは、 さまざまな挑戦が同時進行する不思議な年だ。

音楽家を育てる 「第1回ヨーロッパ国際ピアノコンクール in Japan」(3月4日付1面既報) 設立と、 故郷の活動拠点となる緑風舎でのレッスン開始。 「子どもたちがうまくなるのを見ることほどうれしいことはない」 とにこやかに。

そして、 「べートーベンは 『音楽はあらゆるものの中で最も高い啓示。 私の音楽の意義を理解するものは、 あらゆる困難から解き放たれる』 と言いました。 足元にも及びませんが、 音楽を通して、 生きていることへの感謝と祈りをちょっとでも表現したい」。

「音は消えてしまうもの。 だからこそ、 聴く人が 『生きてて良かった』 と思ってくださる瞬間をつくり、 感動を共にしたい。 誠心誠意、 大事にしていきたいと思います」 と話している。

また、 3日から、 杉谷さんがパーソナリティーを務める番組 「杉谷昭子 音楽の宝石箱」 が和歌山放送で始まる。 第1土曜日午後9時から10時、 演奏曲を流しながら、 曲の背景やエピソード、 音楽の楽しさを、 ゲストと共にユーモアたっぷりに分かりやすく話す。





この記事と関連がありそうな過去の記事

powered by weblio


04.文化・くらし - 同カテゴリの記事






カテゴリー
社会
事件・事故
政治・経済
スポーツ
文化・くらし
紀の川・岩出・海南・紀美野

これまでの特集
月別アーカイブ
株式会社 和歌山新報社
cypress.gif