2010年05月12日

04.文化・くらし

人、 風土、 歴史をモノクロームで 和歌山市の西村隆男さん写真集 『紀ノ川郷愁』出版

西村隆男さん

「和歌山を新発見してもらい、モノクロの良さを分かってもらえたら」

和歌山市岩橋の西村隆男さん(62)がこのほど、初めての写真集 『紀ノ川郷愁』 を出版した。 同市の緑豊かな紀の川流域で生まれ育ち、「刻々変化する生活や風景の記録を将来まで伝えるのが使命」 と30年前から撮影を始めた西村さんは、 「出版は一区切りです。 人、 風土、 歴史を現実感の強いモノクロームで切り取りました。郷土和歌山の一面を少しでも描くことができたのなら幸いです」 と話している。

写真集には、 紀の川での伝統的な鮎漁 「茜屋流小鷹網」、 大根の取り入れ風景 「冬日」、 老人の日常生活のスナップ 「余生」、 小・中学校教諭時代に写した 「習字の時間」、 「和歌浦の夜明け」 などモノクロ155枚を収録。

「川里の四季」 「日々是好日」 「回想の学舎」 「祭りと祈り」 「この道一筋」 にまとめ、 文も添えた。 1976年から2009年1月に写した約4万枚から選んだという。
「街角」
「街角」(チャリティー師走路上なぐり書きをする川柳家の故渕田寛一さん)

序文を寄せた作家津本陽さんは、 「撮影された風景は、 私の胸の奥に沈んでいる悲哀のような感情を動かせます (略) 実に穏和な独特の優しさといえばいいか」 とつづり、 ジャーナリスト岡井耀毅さんは、 「 『生』 の証しを確認する風土讃歌」 と題し 「リリカルな詩情がただよっている。 優しい眼差しが被写体に注がれ、 つぶやくようなささやきが洩れてくるようである。 ...その 『郷愁感覚』 はきわめて現代的...」 と評価。

同写真集製作中に亡くなった西村さんの恩師、 葵フォトグループ主宰の故亀忠男さんは、 「風土性と記録性で紀ノ川を克明に描写している...風土性溢れたものを撮らせば、 和歌山のトップクラスだ」 と祝辞を寄せている。

西村隆男 日本写真協会会員、 二科会写真部会友、葵フォトグループ会員。 毎日写真コンテスト銅賞、 毎日新聞社賞、 岩波写真コンテスト特選、 ニッコールフォトコンテスト準特選、 読売写真大賞、 国際写真サロン入選など入賞入選多数。 昨年、 二科会写真部会友努力賞を受賞。
西村隆男写真集・紀ノ川郷愁 発行/2010年4月22日 著者/西村隆男 編集・構成/岡井耀毅 題字/北原美麗 B5上製本 160ページ 頒価3800円





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