2010年06月29日

04.文化・くらし

国名勝・重要文化財「琴ノ浦温山荘園」④、近代の新しさを求めて

海南市船尾の琴ノ浦温山荘園の建造物 (主屋・茶室・浜座敷) が6月29日に、 国重要文化財として正式に認定された。 今回は、 同荘園を造営した発明家・故新田長次郎 (1857~1936) が、 新しい手法を取り入れ、 茶人の木津宗詮との協同で作った、 園庭東側の茶室を紹介する。

琴ノ浦温山荘園の建造物
一見純和風だが、 右の塀はコンクリート

「鏡花庵 (きょうかあん)」 と名付けられた茅 (かや) ぶきで周囲は瓦ぶきの茶室。 当座帳の記録によると、 武者小路千家・門人筆頭格の木津三代、 宗詮の設計により、 大正9年に建てられたという。

要人を招いて茶を楽しんだり、 会長を退いた長次郎の、 身分を超えた付き合いの場としても、 使用されていたといわれる。

「新しいものを取り入れたい」 という気持ちが強い長次郎は、 純和風の茶室ではなく、 コンクリートをふんだんに使った擬石や擬木、 ベニヤ板などの新材料を使用した。 また、 玄関の竹を組み込んだ窓、 全体に開口部の面積を大きくとった、 開放的な明るさなどが、 木津の好みだという。
二人とも新しい材料への関心が深く、 旧来の技術や意匠を受け継ぐとともに近代の新しさを求める側面もあり、 考えが合致したのだろう。 ウグイス色や、 黄みがかった色の聚楽 (じゅらく) 塗りの壁なども見どころだ。

琴ノ浦温山荘園の建造物
茶室から庭園・池へと続く小道

見学希望の問い合わせは、 同荘園長の阪井さん (TEL073・482・0201) へ。
浜座敷については、 後日紹介します。





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