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海と山に隣接する浜座敷 |
海南市船尾の琴の浦温山荘園の建造物 (主屋・茶室・浜座敷) が6月29日に、 国重要文化財として正式に認定された。 今回は、 故新田長次郎 (1857~1936) が最初に建てたとされ、 紀州の海の眺望を心ゆくまで楽しんだ矢ノ島北東の浜座敷を紹介する。
明治45年に始まった温山荘建設。 大正2年に建てられた浜座敷は、 岩盤を露出する急な斜面に隣接する段丘上にある。 懸造りのように、 1・3~1・5メートルほど床を高く設けているのは、 眺望を最大の目的としているためと言われる。
面積は98平方メートルと決して大きくはないが、 本瓦屋根が巧みな造りで、 文様装飾をもつ軒瓦、 隅丸瓦などは寺院宮殿を思わせる古典的な造り。
主室には、 朝焼けを描いたふすまに、 蝙蝠 (コウモリ) をモチーフにした引き手がある。 大正時代に西洋文化が流れ込み、 悪者ととらえられがちになったコウモリ。 しかし、 東洋文化では 「吉兆、 長寿」 の意味が込められているという。
建物全体において破損しているところが多いが、 これは昭和21年の南海地震の津波被害である。 畳はすべて失われ、 鴨居 (かもい) 上部小壁には、 波の形が鮮明に残されている。
昔は海を一望できたとかいうが、 今は道路や鉄塔ができ、 川のような海しか見えず残念だ。
園庭の見どころは後日紹介します。
津波の跡がくっきりと残る
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