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受賞作「町工場」 |
和歌山市新堀東の武友正修さん(71)が、「第24回日本の自然を描く展」(公益財団法人日本美術協会・上野の森美術館など主催)課題部門で優秀賞に選ばれた。絵を描き始めてわずか5年、絵画展へ初出展、初入賞という快挙を成し遂げた武友さんは、「ほのかにうれしい受賞。今後も和歌山の目立たず小さなことを見つめながら、静かに描いていけたら」と受賞を喜んでいる。
武友さん
同展には、全国から5923点の応募があり、214点の入賞作を含む2834点が入選。武友さんが入賞したのは「日本の自然」をテーマにした課題部門で、受賞作品は「町工場」。黄色と青の対比が印象的なパステル画で、自転車を走らせていて偶然目にとまった同市宇須にある町工場を描いた。斜めに差し込む優しくきれいな光に強く引かれたといい、午後4時ごろの町工場の一隅を表現している。現場に何度も足を運び、光や陰などの微妙な色合いを確認して完成させた。
武友さんは40年以上にわたり、コピーライター・アートディレクターとして活躍。同市に立ち上げた広告制作事務所で、商品広告や県内企業のシンボルマークなど多数のデザインを手掛け、県内の広告業界をリードしてきた。仕事柄、画家の友人も多く約5年前に絵を始め、同展には力試しに出展したという。
これまで描いた作品は約300点ほどだが「名所旧跡など、絵はがきのような風景は好きではない」ときっぱり。描くのは、建築現場に無造作に積まれた資材や、日だまりの路地裏に干された雨傘など、生活感のある身近な風景。自転車で出掛けたり、大好きな貴志川線の電車に揺られ、偶然出合った何気ない風景を絵にしている。武友さんは「これまで携わってきた広告の世界は、無駄を省いて一般に訴える引き算でしたが、絵はその必要がない。きれいでも、そうでなくても、そのままを描くと絵になるんですからね」と描く楽しさを語っている。
作品は5日から24日まで、東京の「上野の森美術館」で展示されるほか、全国各地を巡回。西日本では9月14日から19日まで、神戸市の原田の森ギャラリーで展示される。
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