リング型端末で健康管理 三ツ星ファーム

水耕栽培で育てた野菜を全国に提供している㈱三ツ星ファーム(和歌山県橋本市高野口町)は、VISAのタッチ決済機能と健康管理機能が一体となったリング型ウェアラブルデバイス「TwooCa Ring(ツーカリング)」の導入を決めた。同社によると、農業系企業では世界初。従業員の体温や心拍数などの健康状態を、遠隔で正確に管理できるようになる。海外からのグローバル人材の確保・育成を視野に、活用を図る。

三ツ星ファームは現取締役の尾上文啓さん(44)が2013年に創業し、15年8月に法人化。22年8月から江川且起さん(39)が代表取締役を務める。

同社では土を用いずに、水と液体肥料のみでグリーンリーフなどを生産・販売している。

ツーカリングは、㈱Kort Valuta(東京都目黒区、柴田秀樹代表取締役)が開発。指に着用することで、心拍数や睡眠の質、歩数、体温などのデータを自動で正確に収集することが可能になり、専用アプリ上で、個人の健康状態が総合的に点数化される。タッチ決済機能も搭載され、個人の決済データも管理できる。

三ツ星ファームでは年内の導入を目指し、従業員12人の全員が着用予定。本社から離れた山麓部などで、1人で農作業を行う場面での安全確保などにも有効だという。

同社では、農作物を作る従業員の心身の健康の維持・増進が農作物の安定的な栽培や顧客満足につながると考え、導入を決めた。また「農業を元気にしたい」との思いから、地方でも成果を出し、それぞれが平等に評価される分散型社会の実現を農業界から目指している。ツーカリングの導入をきっかけに、健康状態などの情報から、農家個人が評価される社会を推進したいという。

また、日本の農業は少子高齢化による担い手不足が大きな課題となっている。海外からのグローバル人材の受け入れが必要不可欠であり、そのためには心身の健康の安心、家族の安心の確保が重要。同社では、ツーカリングを通して、日本で農業に携わる外国人の健康状態を母国の家族と共有し、外国人が安心して就労できる環境整備も計画し、農業界のさらなる発展につなげようと考えている。

江川代表取締役は「和歌山の農業から、日本の農業界を引っ張っていきたい」と意気込み、尾上取締役は「テクノロジーを通して、ものづくりから人づくりへとつなげていきたい。そうすれば、まちづくりや国づくりが可能となる」と話している。

 

ツーカリングを手に(左から)神野光農園長、江川代表取締役、尾上取締役

 

リング型の端末で健康情報を管理

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