「あなたは変われるよ。」 Ruiさん7作目絵本
「生きてて良かったな」と今では胸を張って言えるようになった――。いじめや不登校、ひきこもりなどのつらい経験を生かし、イラスト作家として活動する和歌山市のRuiさんが、7作目の絵本『あなたは変われるよ。』を出版。目標を失い生きるのがつらかった、かつての自分と同じ境遇の人に届けたいと願う今作には、Ruiさんが自らの経験を通して気付いた「今までの出会いじゃなく、これからの出会いで変われるんだよ」とのメッセージが込められている。
山の中のよもぎもち屋で働くウサギの「こたろう」は、過去に受けたいじめの経験から心を閉ざしたまま。自らも過去につらい経験をしてきた主人公ウサギの「りょうま」や仲間たちとの出会いによって、葛藤しながらも少しずつ心を開き、変わっていくこたろうの姿が描かれた心温まるストーリー。
7作目にして初登場の「こたろう」は現在、Ruiさんと共に暮らす5代目のウサギ。主人公のモデルになった4代目の「りょうま」が亡くなった後、2020年秋にペットショップから迎えた。
生まれてから9カ月の間、狭いケージの中で過ごしていたこたろうは当初、攻撃的でかむこともあったが、今ではすっかり自由奔放な姿を見せるようになった。「最近ではうれしいときに高くジャンプするなど、喜びを体で表現できるようにまで変わりました」とRuiさんもうれしそうにほほ笑む。
作中のこたろうには、高校生の時に受けたいじめが原因で不登校になり、傷つかないように自分の考えや気持ちは置き去りにして相手の顔色をうかがっていた自らの経験も投影。
ひきこもっていた時には目標を失い、生きるのがつらく、一度は生きるのも諦めたというRuiさんだが、今では人との出会いや会話を自ら進んで探したり楽しんだりできるように。「振り返れば変わっていた」と話す。
「つらいことがあっても人生は終わりじゃない。変われるんだ」との実体験をもとに、Ruiさんが長年描きたかったという「変われる」をテーマにした本作は、心の移り変わりを表現できるような絵にもこだわり、約1年かけて制作。
さまざまな境遇の人に向け、「これからの出会いに変われるきっかけはあるので、なりたい自分に向かって諦めないで」とエールを送っている。
B5判52㌻。1650円。宮脇書店和歌山店、同ロイネット和歌山店、TSUTAYA WAYガーデンパーク和歌山店、㈲荒尾成文堂アラオ岩出店他、Amazonでも販売中。6月24日午後2時から、TSUTAYA WAYガーデンパーク和歌山店でサイン会も開かれる。
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