がん患者と社労士の視点で 富永さん著書
がん患者を勇気づけたいと、現在がん闘病中の社会保険労務士、和歌山市の富永博さん(66)は、患者と社労士の視点から、がんと仕事を両立する向き合い方や支援制度の利用法などを提案する書籍『がん患者の社労士が書いた 自分らしい「がん」とのつきあい方』(非売品)を出版し、同市に20冊を寄贈した。市民図書館などに配架され、閲覧、貸し出しされる。
市役所市長室で寄贈式が行われ、尾花正啓市長は書籍について「読みやすさや必要な情報などが工夫されていて、がん患者にとって励みになると思います」と述べ、富永さんに感謝状を贈った。
富永さんは平成25年6月、社労士として多忙な日々を過ごしていたが突如、体の異変を感じ、病院で検査したところ、進行性直腸がん(ステージⅢ)が発覚。現在も、抗がん剤治療を続け、がん患者支援団体などで治療と仕事の両立支援のアドバイスなどを行っている。
著書では、労働基準法などの法律に基づいて、労働者ががんになった場合、職場での勤務を維持するために、労働者側と経営者側それぞれの立場で必要な準備や、労働時間の変更などに関わる制度の利用などを提案している。また、製造業や建設業など8人の経営者に取材し、社員にがんが発覚した際には、治療と仕事の両立を前向きに支援する考えがあることも記している。
遺言書や終末治療への考えをまとめた書面の作成、抗がん剤治療のやめ時、身辺整理、自身の通夜・葬儀への考え方など、最期の時の準備まで踏み込んだ内容になっている。
富永さんは「がんについての医療専門書はあるが、がん患者が書いた本はあまりなかったので、多くの人に目を留めてもらい、何かを感じてもらえれば」と話している。
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