古民家再生へ 紀美野で大阪市大院生PJ始動

 和歌山県紀美野町梅本で農家民泊を営む施設「JINと小梅」で、古民家再生の実例や技術を学ぼうと大阪市立大学大学院で学ぶ学生ら3人が今月、1泊2日の宿泊体験をした。施設の改築状況や自然界との関わりなどについて学んだ学生らは、3月から同町内の古民家を活動拠点に再生させるプロジェクトをスタートさせる。

 学生は同大学院生活科学研究科で学ぶ谷口結香さん(23)、山本奈月さん(23)、名倉麻美さん(23)で、人が自分らしい生活を送り、人生に幸福を見いだしているかということを尺度としてとらえる概念「クオリティーオブライフ」をテーマに学んでおり、豊かな自然に恵まれた同町での暮らしに着目。古民家を再生して学生らの学びの拠点を建設する体験的学習を前に、実例に学ぼうと同施設を訪れた。

 一行は同施設の運営者、稲毛るみ子さん(52)と料理などを通して交流。紀州鶏のひね肉や大根を使ったみぞれ鍋などに舌鼓を打ち、まきストーブで暖をとりながら、大阪市からの移住者である稲毛さんと意見交換を行った。

 学生らは、改築状況について、「室内で板張りと畳張りが連続していると生活しづらいのではないかと思っていたが、宿泊体験で違和感や使いにくさは感じられなかった」、山間部での生活については「古民家の再生はおしゃれな空間のイメージが強いが、自然の厳しさや防災のことも考えなければならないことが分かった」などと話した。

 稲毛さんは2013年3月に田舎暮らしを希望する夫の誠治さん(55)と共に築約80年の農家を改築して同所を開設。植木の栽培や植栽などを手掛けながら、民泊事業を行っている。

 昨年の台風21号が梅本地区にもたらした土砂災害にふれ「しっかりと張った雑木の根が家を守ってくれました。流木が家を避けるように流れたことに、先人の家作りの知恵が、場所の選定にまで働いていたことに畏敬の念を感じます」と話し、「自然のおきてを守るところと、恵みを楽しむことの両面を考えなければいけません」と話していた。

稲毛さん㊨の家で民泊体験した3人の院生

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梅本地区で起きた土砂災害現場の防御ネット

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