コレクション名品選 近代美術館で無料公開

和歌山市吹上の県立近代美術館で24日まで、「コレクション名品選」が開かれており、和歌山ゆかりの作家による、同館の選りすぐりの作品約30点を無料で楽しめる。

第74回和歌山県美術展覧会(県展、13~17日)、第6回県ジュニア美術展覧会(ジュニア県展、20~24日)に合わせての開催。保田龍門、建畠大夢、神中糸子、川口軌外、浜地清松、石垣栄太郎、村井正誠、宇佐美圭司、野田裕示ら県関係の代表的な作家たちの油彩画や彫刻作品にふれながら、明治の開国以来、海外に学びながら展開してきた日本近代の美術の流れを振り返る。

保田龍門(1891~1965)は紀の川市出身の洋画家・彫刻家。一時は医師を志望したが、12年に東京美術学校西洋画科に入学し、在学中に二科展で入選、17年の第11回文展で特選を受賞した。その後、日本美術院の研究所で彫刻を学び、欧米で3年余り研さんの日々を過ごし、帰国後は、郷里の和歌山にアトリエを建てた。戦後は、大阪市立美術研究所、和歌山大学で後進を指導し、関西の美術界に大きな影響を与えた。

今回は彫刻の『すさのおの命』、油彩画の『少年』などが展示されている。

浜地清松(1885~1947)は串本町津荷に生まれた洋画家。01年に渡米し、09年にボストン美術館付属美術学校を卒業後、ニューヨークに移り住んだ。27年にパリへ渡り、滞在中に公募展(サロン)で入選を果たし、28年に帰国してすぐの帝展(帝国美術院展覧会)で『赤い帽子』が特選となるなど評価を高めた。今回は『暖炉』が展示されている。

コレクション名品選終了後、照明取り替え工事のため、同館は4月下旬まで休館となる。

午前9時半から午後5時(入場は4時半)まで。会期中の休館日は12、18日。

関連イベントとして、9、10日の午前11時~正午に「こども美術館部」を開催。いろいろな見方で美術を楽しむ小学生限定の鑑賞会となっている。参加無料。申し込みは同館ホームページで。

問い合わせは同館(℡073・436・8690)。

 

保田龍門《すさのおの命》1942年木(樟)(県立近代美術館提供)

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