2010年06月08日

04.文化・くらし

国名勝・重要文化財「琴ノ浦温山荘園」③下、波に乗るウサギの欄間

建造物がことし4月、 国重要文化財として答申された海南市船尾の琴ノ浦温山荘園。 前回紹介した居室より奥には、 故新田長次郎 (1857~1936) が皇族や秋山好古など親しい友人を呼び寄せ、 仕事の合間の癒やしの場として談笑を楽しんだという主座敷がある。 今回はここからの眺望などを紹介する。

琴ノ浦温山荘園
大広間から自然の山々を一望

主座敷 (大広間) は24畳。 座敷構えは違い棚、 台目3畳の床の間、 琵琶床を並べ、 付書院を設けた正統的なものである。

大広間からの眺望は、 自然のままの山々と池の近くに置かれた灯籠 (とうろう) などが魅力。 当時は海も見渡せ、 同様に楽しめたが、 現在海は埋め立てられ、 山々だけが美しい姿を残している。 池のそばの灯籠の飾りは、 よく見るとハート型にくり抜かれている。 「猪の目」 と呼ばれ、 「勢いをつける、 繁盛」 などの意味で造られたのではと言われている。

広間を見上げると、 現在は天然記念物として貴重な屋久杉を、 惜しみなく使った欄間が見える。 これは明治から大正時代に活躍した彫刻家・榊原雲楽 (1878~1954) の作。 建設年のえと (ウサギ) をモチーフにしている。 天井の照明器具は、 蝋色塗装された銅製飾り吊具で4方に配置し、 腕木に長短があり菱形状で珍しく、 造形美へのこだわりがみられる。

見学希望の問い合わせは同荘園園長の阪井さん(TEL0734820201)へ。

茶室と浜座敷については、 後日紹介します。





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