2011年01月11日

04.文化・くらし

「初日の出を見る会」開き16年 和歌山市の中尾さん

和歌山市三葛の洋画家中尾安希さん

「雲が厚くて見えませんでしたが」 と初日の出のスケッチを手にする中尾さん

「美しい和歌の浦を再発見してもらえたら」と、 和歌山市三葛の洋画家中尾安希さん(69)が16年前から実施している「初日の出を見る会描く会」が、 ことしも1月1日早朝に開かれた。 曇り空にもかかわらず約50人が参加。 スケッチしたり撮影したり、 和歌を詠んだり拝んだりと思い思いに初日の出を見つめた。 和歌の浦を愛し続け、 昨年8月の国名勝指定を喜ぶ中尾さんに思いを聞いた。

元日の太陽は7時15分ごろ、 名草山が生石山の方へ連なるあたりに顔を出す。 干潟をはさんだあしべ橋周辺から眺めると、 風もなく穏やかな朝は日の出がそのまま水面に映え、 曇りの朝は雲と太陽が空に美しい模様を織りなす。 それらが刻一刻と変わっていくさまが素晴らしい。

そして対岸の建物は、 逆光と朝もやに包まれて目立たない。 中尾さんは 「ちょうど万葉の景色とも思える風情です。 万葉の風景が残っているのは全国的にも少ない」 と話す。

武者小路実篤の言葉 「美を広める」 を座右の銘に、 和歌の浦の早朝を歩く会や展覧会の開催、 画集や絵はがきの出版、 麦の郷や妹背山護持顕彰会基金への寄付、 小中学校での講演などを続けてきた。 故・平山郁夫さんの 「絵かきは絵を描くだけでなく、 社会とのつながりをつくっていかねばならない」 と同じ思いという。

今後の 「和歌の浦」 について中尾さんは、 《対岸の風景》と《風土に合う色》の重要性を挙げる。

「対岸の建築規制が必要。 また、 拡幅工事をしている明和中からマリーナへ向かう道路の陸側に松を植えてほしい。 建物の目隠しにもなる」 とし、 建物の高さや色、 看板の大きさや色の問題は、 和歌山城などまち全体の問題だと指摘する。

そしてもう一つの希望は石泉閣の再利用だ。 「あのままつぶしてしまうのはしのびない」 と話している。





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