2009年04月15日

04.文化・くらし

清水さん 県初の日本藝術院会員に

090415bun.jpg

「花が好きです。特にバラが...」と、意外にも洋花があふれる自宅の庭で

日本画家・清水達三さん(73歳、和歌山市)

「これからが勉強、自分を見直す新たな出発と思っています。挑戦と前進あるのみです」。
県初の日本藝術院会員となった。昨年3月に県在住者初の日本藝術院賞と恩賜賞を受賞し、同年12月に会員に。同院60余年の歴史上、同年直行事例は日本画初である。藝術院賞を受賞しても会員になれるとは限らず、なれても受賞後数年かかるという。
「夢みたいな話です。しかも中央ではなく和歌山にいてですから」と穏やかにほほ笑む。
そして、もう一つのうれしいプレゼントが子どもたちから。先月、出身校の和歌山市立楠見小学校に早朝の紀の川を描いた大作「鷺の来る日」を寄贈し、5、6年生対象に講演した。「絵を教えに来てもらえますか?」との子どもたちの願いにも笑顔で快諾。
子どもたちから贈られた手作りの折り紙のレイと、一人ひとりからのカラフルな手紙を手に、「うれしくて涙が出ました。一生の宝物です」と目を細める。

昭和11年和歌山市生まれ。岩絵の具の美しさに魅せられ、16歳で日本画の道に。中村貞以氏と長谷川青澄氏に師事。27歳で日本美術院展に「残雪」が初入選する。平成元年、春の院展「熾」外務大臣賞。3年、院展「日蝕」日本美術院賞大観賞。10年、院展「奥瀞」文部大臣賞。13年、院展「枯木灘」内閣総理大臣賞。日本美術院同人評議員。今も和歌山市に住む。 近年のテーマは「郷土和歌山の風景」と「水の生命」だ。20年近く前にがんを患い、闘いの中で「私の命はいつかなくなるが、水は霧に水蒸気にと形を変えながら永遠に生き続ける」と、水に永遠の生命を見出し、水があふれる大切な郷土を描き始めた。
山々に立ちこめる霧。清冽な渓流。躍動する水しぶき。朝もやの海。海岸に打ち寄せる波。「一滴の水にもいとおしい命を感じて」描く花の水のしずく...。花にも、空にも、以前よく描いた女性にも、すべてに水がほしいという。
まるで音が聞こえてきそうな波は、「決して波から目を離さず、スケッチブックを脚に押しつけるようにして描く。「一番大事なことは写生です」ときっぱり。
「生涯勉強です。今は何でも描きたい。人物も、風景も、白い花も赤い花も、月明かりも、目に入るすべてのものを描きたい。夢はいくらでも広がる」。瞳の輝きは、まるで絵を始めたばかりの少年のようだ。



Englishbm_trans.gif  印刷print    はてなブックマークに追加 del.icio.usに登録 Buzzurlに登録 Yahoo!ブックマークに登録 livedoorクリップに登録


04.文化・くらし] 同カテゴリの記事

04.文化・くらし - 同カテゴリの記事








sinkipage.gif
カテゴリー
社会
事件・事故
政治・経済
スポーツ
文化・くらし
紀の川・岩出・海南・紀美野

これまでの特集
月別アーカイブ
株式会社 和歌山新報社
cypress.gif